ことばキャンプの効果
2025-05-31 18:02:28

「ことばキャンプ」プロジェクトが児童養護施設の子どもたちの自尊感情を高める

「ことばキャンプ」プロジェクトの成果



近年、虐待や家庭環境の困難から児童養護施設に入る子どもたちが増えています。これらの子どもたちは、時に自分の感情を表現するための言葉を持たず、自己肯定感が低下しがちです。しかし、特定非営利活動法人JAMネットワークが実施している「ことばキャンプ」プロジェクトが、その状況を改善する手助けをしていることが研究によって明らかになりました。

研究の背景



日本全国の約160の児童養護施設で実施されている「ことばキャンプ」は、コミュニケーション能力を育て、自己肯定感を高めることを目的としたプログラムです。髙取しづか氏と小児精神科医の古荘純一氏が共著で発表した論文によれば、このプログラムに参加した子どもたちの自己肯定感が向上したことが示されています。

研究の目的と方法



この研究は、児童養護施設に入所している小学生127名を対象に行われ、国際的に使用されている小児用QOL尺度「Kid-KINDL(R)」を用いて、プログラムの前後の自尊感情やQOLの変化を検討しました。

研究は19の施設で実施され、介入前後での変化が比較されました。

研究の結果



結果として、「ことばキャンプ」参加後に、QOLの総得点及び自尊感情の得点が有意に上昇しました。「精神的健康」や「友だち」、「家族」の得点も上昇した一方で、「学校生活」の得点は有意に低下したことが判明しました。このことは、子どもたちが新たなコミュニケーションスキルを獲得する過程で、一部の子どもたちが自身を客観的に捉えるようになり、自尊感情が低下した可能性があると指摘されています。

「ことばキャンプ」の具体的な内容



「ことばキャンプ」は、子どもたちが主体的に参加することが求められる楽しいソーシャルスキルトレーニング(SST)プログラムです。全6回にわたり、それぞれ2時間のセッションが行われ、コミュニケーション能力の向上と共に自尊感情を育てることを狙いとしています。

このプログラムでは、安達知郎氏の提案する主体的な表現を促す技術が取り入れられ、場の心理的安全を確保しつつ、子どもたちが率先して意見を述べる機会が与えられます。また、肯定的なメッセージ「花マルメッセージ」が用いられ、子どもたちの社会的スキルの定着を図ります。

専門家の声



古荘氏は「コミュニケーションスキルが向上することで自尊感情が高まることが確認できた」と述べ、今後のさらなる広がりに期待を寄せています。髙取氏も「多くの子どもたちが自分の気持ちを表現できるよう、活動を続けることが重要」と強調しています。

最後に



「ことばキャンプ」の取り組みが、多くの児童養護施設で広がり、子どもたちが未来に対して自信を持てるようになることが願われています。ここでの効果が、今後の児童福祉の在り方に新たな可能性をもたらすことを期待しています。

詳しい研究内容や、プログラムに関する情報は、青山学院大学の図書館やCiNii Researchで確認できます。協力することで、より多くの子どもたちが自尊感情を育て、より良いコミュニケーション能力を持つ未来を築けるよう支援していきましょう。


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