デジタル化が進化する現代の学校教育とその実態
近年、学校教育のデジタル化が進んでいます。公益財団法人博報堂教育財団により実施された調査「令和の学校」によれば、全国の小学4年生から中学3年生において、授業や宿題で動画を視聴する機会が約7割に達しており、宿題をタブレットで提出する子どもたちも6割に上ります。このようなデジタル技術の浸透は、子どもたちの学びのスタイルを大きく変化させています。
デジタル化の現状
2025年9月2日に発表された調査結果によると、授業で動画視聴やタブレットの活用は当たり前となり、国語教育や算数の授業でも積極的にデジタルツールが取り入れられています。特に、プログラミングや生成AIを含む新たなスキルの習得にも注力されており、これまでの教育が大きく変わろうとしている様子が伺えます。
また、調査では学校生活におけるデジタル化の影響が明らかになっています。具体的には、授業でのプロジェクターの使用頻度は小学生の方が中学生よりも高く、教育環境の違いも見られました。このように、デジタルツールが授業の中で真剣に使われるようになったのです。
子どもと保護者の意識の違い
興味深いことに、デジタル化に関する意識には子どもと保護者の間に顕著な差が存在します。具体的には、文章を書く際の「キーボード入力が良い」と回答した子どもは43.8%に対し、「手書きが良い」とした保護者は57.3%でした。この傾向は教科書の使用においても顕著で、子どもたちはデジタル教科書にも魅力を感じている一方で、保護者は依然として紙の教科書を支持しています。この意識のギャップは、教育のあり方の再考を促すものです。
現代学校の風景
デジタル化の進展に伴い、学校の環境も変化しています。現在、約90%の学校では教室にエアコンが完備され、男女混合の名簿作成も一般的になっております。さらに、スクールカウンセラーの存在は生徒のメンタルヘルスへの配慮として重要視されています。一方で、教室の掃除を生徒が行う文化は、昭和からの伝統を保ち続けていることも印象的です。
教育の未来を見据えて
これらの調査結果から見えるのは、学校教育がデジタル化する中でも、アナログ的価値観や文化が根強く残っているということです。教員や保護者は、変化に対応しながらも、過去の教育経験を元にした価値観を手放すことが難しいのかもしれません。
教育の未来がどのように形成されていくのか、私たち大人が進んで地道に取り組むことが求められています。子どもたちがどんな学びを選び、どのような未来を描いていくのか、引き続き注目していきたいと思います。
(公益財団法人博報堂教育財団 こども研究所上席研究員 福嶋由美)