「まなりぴ」実証実験の取り組み
2025年、洗足学園小学校で新たな教育サービス「まなりぴ」の実証実験が開始されます。このサービスは、青山学院大学教育人間科学部の北澤 武教授と、IT企業の株式会社エスシーシー(SCC)の共同開発により誕生しました。目的は、児童が学習した内容を「自分の言葉で説明する」能力、いわゆる「自己説明力」を育むことです。これにより、学びに対する理解を深め、記憶の定着を図ります。
「まなりぴ」では、生成AIと対話しながら学習内容を復習します。AIパートナーは児童一人ひとりの理解度に基づいて問いかけを行い、学習内容をより効果的に消化できるよう手助けします。このように、受動的な知識の受け入れから、能動的な思考の整理へとシフトすることを目指しています。
実証実験の詳細
実証実験は、2025年11月1日から30日まで行われ、洗足学園小学校の5年生を対象とします。教科は社会科、特に歴史についての理解度向上が期待されています。
実験では以下の3つの検証が行われます:
1. 「まなりぴ」が児童の学習内容の理解度向上に寄与できるか。
2. 児童の学習意欲と、主体的な学習態度の育成に与える影響。
3. 教員からの評価によるサービスの教育的効果。
教育現場からの期待
洗足学園小学校の赤尾 綾子教頭は、子ども達が「学びのアウトプット」を日々行うことが学習の定着につながると述べています。「しかし、毎日それを実現するのは難しい」とも指摘し、今回の「まなりぴ」がその助けになればと期待を寄せています。
また、北澤教授も「生成AIを使って思考が止まるのではなく、思考を促進する設計になっています」として、このサービスの持つ可能性について述べています。子どもが自らの考えを言葉にすることで、知識を深める機会を提供することが目的です。
未来の教育を見据えた取り組み
この取り組みは、私たちが抱える教育の課題、特に一斉授業時における児童一人ひとりの理解度の把握及び適切な指導の困難さを解決する一助となることを目指しています。「まなりぴ」は、新しい学びの姿を提案し、他者との協力や思考力を育てながら、子ども達が自発的に考え、学ぶ楽しさを見つけていく手助けをします。
無料トライアルのご案内
SCCは、教育機関に向けて「まなりぴ」のトライアル校を募集しています。興味のある教育機関の担当者様は、ぜひご応募ください。具体的な募集期間は2025年10月23日から12月19日までです。これにより、AIを活用した教育の未来を一緒に体験できる機会を設けています。
GIGAスクール構想の先へ
全国の学校でのデジタル化が進む中、GIGAスクール構想は教育の現場に新たな変革をもたらしています。しかし、それだけでは足りません。個々に特化した深い学びを実現するためには、技術と教育の融合が求められています。「まなりぴ」は、その答えを模索する道の一端です。
この実証実験を通じて、私たちは日本の教育がどのように進化できるかを探求していきます。未来の学び方を共に見つけていきましょう。