ファミリーマートの涙目シールが受賞した理由と取り組みを徹底解説

株式会社ファミリーマートが「第34回食品安全安心・環境貢献賞」を受賞したことが発表されました。この受賞は、同社が展開しているユニークな食品ロス削減策「涙目シール」によるものです。この取り組みは、消費者との共感を大切にしながら、食品ロスを減らすことを目的としています。今回は、この涙目シールの詳細と、その受賞の背景に迫ってみます。

食品安全安心・環境貢献賞とは

この賞は、日本食糧新聞社が主催し、食品産業全体の安全性や環境保全に貢献する企業を表彰するものです。安全で安心な食品の提供に加え、環境に対する意識向上を図ることを目的としています。受賞理由としては、高い先進性や取り組みの成果が評価され、特に「涙目シール」が、消費者の共感を呼び起こす良い例とされました。

涙目シールの取り組み

「涙目シール」は、単なる値下シールではなく、消費者に向けて感情的なメッセージを伝える手段でもあります。このシールには「たすけてください」というメッセージと、可愛らしい涙目のキャラクターが描かれています。この工夫により、消費者は「助けて」というメッセージを受け取り、食品ロス削減に参加する意識を持つことができます。

実際、2024年10月に行った実証実験では、従来の値下シールに比べて、購入率が大幅に向上したことが確認されています。ファミリーマートは、これを全国に展開することで、年間約3,000トンの食品ロスを削減できる見込みです。

消費者の心理に寄り添う

「値下商品の購入は恥ずかしいが、助けるためだと思えば購入できる」という消費者の声があるように、涙目シールは感情に訴えかけることで、値下げの商品に対する心理的ハードルを低くし、購買意欲を激増させる役割を果たしています。このように、ファミリーマートは消費者と心を通わせる新たなアプローチを取り入れています。

さらに、店舗のデジタルサイネージ「Family Mart Vision」でも涙目キャラクターが登場し、消費者に対して食品ロス削減を呼びかける取り組みが続けられています。それにより、より多くの人々がこの問題について考えるきっかけとなることを目指しています。

中長期的な目標に基づく取り組み

ファミリーマートは「ファミマecoビジョン2050」を掲げ、2050年までに食品ロスを80%削減するという長期的な目標に向けた具体的な取り組みを行っています。過去には商品包装の改善や、発注精度の向上、「てまえどり」の実施など、さまざまな手法で食品ロス削減に取り組んできました。

また、2021年7月からは、消費期限の迫ったおむすびや弁当などにバーコード付き値下シールを貼って販売する「ファミマのエコ割」を導入し、全国の9割以上の店舗で利用されています。このような積極的な取り組みにより、ファミリーマートは消費者と共に持続可能な未来に向けた歩みを進めています。