小学生の発見が引き起こしたニホンオオカミの神秘
小森日菜子さんは、2020年11月、国立科学博物館の研究施設見学イベントに参加した際、特別な剥製に出会いました。その正体は100年以上前に絶滅したとされるニホンオオカミでした。この珍しい発見は、彼女の学びと探求がどのように世界に広がるきっかけとなったのかを教えてくれます。
ニホンオオカミとの出会い
当時小学4年生だった小森さんは、この剥製を見た瞬間に「頭の中のレーダーがピピッと反応した」と語りました。その直感をきっかけに、彼女は剥製の調査を決意し、専門家のサポートを受けながら活動を始めることになります。
小森さんは、剥製の形状や付属するシール、大昔の資料を確認し、それらの手がかりをもとに調査を進めました。彼女の自由研究は『ヤマイヌ~私が解明したい謎のニホンオオカミ~』として纏められ、2021年には文部科学大臣賞を受賞するまで堅実な進展を遂げました。
学術論文への挑戦
受賞後、小森さんは調査に協力した専門家たちとのさらなる交流を重ね、今度は学問的な観点から剥製を研究することを決めました。彼女は2024年2月、専門の研究者と共に論文『国立科学博物館所蔵ヤマイヌ剥製標本はニホンオオカミCanis lupus hodophilaxか?』を発表し、その結果としてニホンオオカミである可能性が示唆されました。この出来事は広く報道され、多くの人々に感銘を与えました。
本書の内容
2025年6月2日には、小森さんの発見から研究過程を描いた児童書『まぼろしの動物ニホンオオカミ小学生、なぞのはくせいの正体を追う』がリリースされます。この本では、ニホンオオカミの剥製を追いかけるミステリーのような物語が展開されており、自由研究や論文の作成方法も学びやすく紹介されています。
著者には児童文学作家のたけたにちほみさんが名を連ね、奇跡的な出会いや探求のドキドキ感を表現しています。剥製を取り巻くシールや記録、さらには絶滅動物に対する深い知識も得られる内容となっています。
読者からの反響
タレントの伊集院光さんも本書を読み、推薦コメントを寄せています。彼は「先に生まれただけの僕は、小森先生と呼ぶ」と表現し、小森さんの成長と探求に感動を示しました。
展示情報
小森さんが研究の対象にしたニホンオオカミの剥製は、国立科学博物館において特別展『古代DNA ―日本人のきた道―』で展示されています。会期は2025年3月15日から6月15日までで、ぜひ多くの方に足を運んでもらいたいです。
この書籍を通じて、ニホンオオカミの神秘に興味を持つ子供たちや、その研究を目指す学生たちがインスパイアされていくことを願っています。小森日菜子さんの物語は、探求の楽しさと知識の深さを教えてくれる一冊です。