高校生が国際原子力科学オリンピック日本代表に選出
大阪府立北野高等学校の2年生、佐々木柚榎(ささき ゆずか)さんが、国際原子力科学オリンピック(INSO)の日本代表に選ばれました。この大会は、20歳未満の学生を対象にした原子力科学や放射線技術に関する国際コンテストで、2025年7月30日から8月6日にマレーシアで開催されます。この代表選抜は、2025年の大会が日本から初めて参加することから特別な意味を持ちます。
佐々木柚榎さんの挑戦の歩み
中学時代からの探求の始まり
佐々木さんは中学1年生から素粒子に関する探求活動を行っており、加速キッチン合同会社の支援を受けてきました。中学時代には、自宅で宇宙線を測定しつつ、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が運用するGOES衛星のデータや気象庁の地磁気観測所の情報を用いた研究に取り組みました。特に、宇宙天気が地上における宇宙線強度に与える影響についての探究成果を、2022年の超異分野学会・大阪大会で発表しました。
地道な研究が実を結ぶ
中学3年生になると、大阪大学のSEEDSプログラムの支援を得て、放射線による微小なシンチレーションを市販のカメラで撮影するプロジェクトに取り組みました。この撮影活動は、写真解析の結果がハイスクールラジエーションクラス2023で高く評価され、優秀賞を受賞しました。佐々木さんは、エックス線やガンマ線のエネルギーの推定作業も行い、さらに探求を深め続けています。
高校でのさらなる躍進
高校1年生の時には、「Sakura Particles」というチームに参加し、国際加速器実験提案コンテスト「Beamline for Schools」で最優秀賞を獲得しました。このチームでは宇宙線トラッカーの設計やその性能評価を行い、今後の実験成果を基に論文を発表する予定です。
佐々木さんのこれまでの努力と成果は、大阪府教育庁からの表敬訪問という形でも評価されており、彼女の放射線や素粒子に対する興味が、今回の代表選出に繋がったことは間違いありません。
国際原子力科学オリンピックについて
国際原子力科学オリンピック(INSO)は、原子力科学に興味を持つ全世界の若者たちが知識を競い合う、大きな舞台です。初回大会は2024年にフィリピンで開催され、今回は14カ国から55名の学生が参加しました。次の2025年大会も国際原子力機関(IAEA)の支援で開催されるため、多くの期待が寄せられています。
加速キッチンの役割
加速キッチン合同会社では、佐々木さんのように素粒子の探求に熱意を持つ中高生に対し、多様な研究機器を貸与し、無償でオンラインサポートを行っています。そのため、地域に関わらずユニークな探求活動が可能です。そして、このような活動を通じて、未来の科学者を育成していくことに力を入れています。
佐々木柚榎さんのこれからの挑戦が、多くの若者に影響を与え、さらなる進展を生むことを期待します。