食品支援がもたらした子どもと親の笑顔──フードバンクの成果と課題を探る

フードバンクが生み出す子どもの笑顔

近年、物価の高騰が続く中、多くの家庭が食の確保に苦しんでいます。そんな状況で、NPO団体による食品支援やフードバンクの活動が支えとなっていることが注目されています。その中でも、認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが運営するフードバンク「グッドごはん」は、ひとり親家庭に無償で食品を提供し、心理的な安心感を生み出しています。また、調査によれば、利用者の約6割が子どもの笑顔が増えたと実感していることが明らかになりました。

フードバンク「グッドごはん」とは

「グッドごはん」は、日本国内のひとり親家庭を対象にした食品配付サービスです。2025年11月時点で、首都圏、近畿、九州の約40か所で、月に約1万円相当の食品を直接渡しています。

調査の概要

2025年10月に行われた調査では、1,274名の低所得のひとり親家庭が対象となり、食品支援の利用が暮らしに与えた影響を探りました。特に注目すべきは、支援後に親が心理的な安心感を得たことです。約8割が「頼れる場所があるという安心感」を実感し、7割が「食事に対する不安が減った」と回答しています。

子どもへの影響

食品支援による子どもの様子にも大きな変化が見られました。約6割が「よく食べるようになった」と回答し、同じ程度の割合で「笑顔が増えた」と感じています。食卓の雰囲気が明るくなることで、家庭全体に良い影響を及ぼしています。多くの保護者からは、食べ物の支援のおかげで子どもが学校を休むことが減ったとの声も寄せられました。子どもが食材を自ら選ぶようになるなど、前向きな行動も増えています。

家計へのポジティブな影響

調査によると、支援を受けた家庭では、「他の支出にお金をまわせるようになった」との回答が多く、家計の負担軽減に寄与していることが確認されました。しかしながら、食事の栄養面の改善には課題が残されています。「栄養バランスを気にできなかった」という回答も多く、依然として経済的な余裕が乏しい家庭が多いことが示されています。

課題と今後の展望

グッドネーバーズ・ジャパンは、こうした課題に対処するために、冷蔵や冷凍設備の導入や、栄養面に配慮した食品の提供を改善する努力を続けています。しかし、支援が求められる今、より多くの食品やボランティアの協力を得る必要があります。このような活動を通じて、支援が必要とされる家庭への食の安心をより一層強化することが求められています。