小川未明文学賞の第33回大賞作品が刊行
2025年11月20日、株式会社Gakkenが「第33回小川未明文学賞」の受賞作を書籍化した『あの日、ともに見上げた空』を発表しました。この作品は、600を超える応募の中から選ばれた大賞作品であり、心温まる子どもの成長物語が描かれています。
あらすじ
物語は小学5年生の「わたし」と、兄の「ほーちゃん」の日常から始まります。ほーちゃんは、時には叫び、時には駆け回る個性的なキャラクター。彼はインフルエンザにかかったために修学旅行に参加できず、そこで始まるのが「やり直し修学旅行」の計画。主人公はこの予想外の旅行を通じて、さまざまな人々やペットとの出会いを経験し、自分自身と向き合っていきます。
老若男女、さらには犬や猫を含めた多様な存在が互いに助け合いながら生きる様子が描かれ、読者に人とのつながりの大切さを教えてくれます。
著者の紹介
今回の作品を書いたのは黒田季菜子さん。彼女はすでにSNSで人気のある連載を発表し、エッセイも著作として刊行しています。本作では、心身障害や多様性をテーマに織り交ぜつつ、物語は引き込む展開を見せており、読者を一気に物語の中へ誘います。
美しい装画や挿し絵は、優れたイラストレーターのトミイマサコさんが手掛けています。多彩なキャラクターを生き生きと描き出し、命の輝きを表現しています。
受賞の言葉
黒田さんはこの作品について、「色々な人たちが互いを認め合い共存していくことが、未来を生きる子どもたちにとって重要なメッセージであることを願って書きました」とコメント。ほーちゃんたちがこの書籍を通じて広がることに、心からの喜びを感じています。
選考委員の評価
小川未明文学賞の最終選考を行った柏葉幸子さんは、「本作は、一番読後感がよく、旅に出る期待感が伝わってくる」と評価しています。個性的で魅力的な登場人物たちに、読者は親近感を抱くでしょう。
小川未明文学賞とは?
『赤いろうそくと人魚』などの著作で知られる小川未明を顕彰するこの文学賞は、未来の子どもたちへ向けた素晴らしい児童文学の誕生を願い、1991年に創設されました。
応援メッセージ
児童文学作家の村上雅郁さんは、黒田季菜子さんのデビューを心温まるメッセージで応援。「ほーちゃんの物語が今の児童文学界に必要です」と述べられています。
ネットギャリーのレビュー
現在、この作品はネットギャリーで公開中で、多くの読者から好評を得ています。「とても気持ちのいい作品で、一気に読みました」というレビューも寄せられています。多様性の重要性を体感できる作品といえるでしょう。
書籍情報
- - タイトル:あの日、ともに見上げた空
- - 著者:黒田季菜子
- - 絵:トミイマサコ
- - 発売日:2025年11月20日
- - 価格:1,760円(税込)
- - ISBN:978-4-05-206244‐5
- - 定形:四六判・ハードカバー、192ページ
- - 電子版あり
この機会にぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。子どもたちに贈りたい、感動的な一冊です。