放課後の質向上が子どもの成長に寄与する研究が開始
「日本中の放課後を、ゴールデンタイムに。」をミッションに掲げる特定非営利活動法人放課後NPOアフタースクールと、一般社団法人エビデンス共創機構が共同で行う新たな調査研究が2024年6月よりスタートします。この研究は、放課後の居場所の質が子どもの健やかな成長や発達にどう影響するのかを検証します。
調査内容と目的
調査は2024年6月から2027年3月末までの約3年半にわたり、全国の放課後児童クラブを対象に実施されます。対象となるのは、公設民営と民設民生それぞれが運営する施設で、宮城、栃木、東京都、神奈川、愛知、大阪、熊本の7つの県に拠点を持つ事業者です。
この研究の特徴は、子ども本人の声と科学的な観察評価を組み合わせている点です。具体的には、「保育環境評価スケール④放課後児童クラブ」(SACERS)という評価指標を活用し、放課後の環境を多角的に評価。このプロセスを通じて、居場所における「質の可視化」を目指します。
調査の実施方法
調査は2回に分けて行われ、各拠点を訪問して評価を実施します。最初の評価の結果を共有し、フィードバックを受けた後、4〜5ヶ月ほどあけて再度評価を行います。この方法により、改善点を明確にし、効果的な質の向上を図ることを目指しています。
SACERSは、空間や活動、人との関わりなど、子どもたちが過ごす環境を7つの領域(空間と家具、健康と安全、活動、相互関係、育成支援計画、研修、特別支援)と47項目からスコアリングします。目標は、子どもが楽しめる環境の実現です。
子どもへの影響の実証
研究の目的の一つは、調査を通じて得られたスコアと子どもたちの気持ちや行動との関連性を明確にすることです。すでに調査の一部から得られた結果によると、環境の質が高い施設では、子どもたちがポジティブな感情(「楽しい」「安心できる」「自信がつく」)を多く抱く傾向があることが示されています。また、良好な環境は問題行動の減少にもつながることが分かっています。
課題の明確化
調査対象となった設置拠点では、現場のスペースの制約や人員不足に直面している中で、どのように居場所を改善できるかが重要な課題となっています。多くの現場では空き教室を利用することが多く、環境的な制限がある中で、その中でも質を向上させる工夫が求められています。
実際に、SACERSを基にした評価フィードバックを通じて、「どのように工夫する余地があるのか」が見えてきたという声が上がっています。これは、質の向上が一ナスリスンでなれるなど具体的な改善のヒントを提供しています。
今後の展望
この調査は、2025年度に向けて更なる展開を予定しています。具体的には、自己評価ツールの開発や具体的な改善事例の整理・発信を行い、他拠点への普及を図っていく予定です。また、自治体への政策提言資料も作成し、地域全体での支援を促進することを目指します。
今後、放課後の子どもたちがより質の高い環境の中で過ごせるように、調査研究を続けていきます。