共働き家庭の小学生の放課後:実態と課題
特定非営利活動法人 放課後NPOアフタースクールが行った調査により、共働き家庭における小学生の放課後の過ごし方についての実態が明らかになりました。本調査の目的は、子どもたちがどのような環境で放課後を過ごし、どのようなニーズを抱えているかを理解することです。
調査の背景と目的
放課後NPOアフタースクールは「日本中の放課後を、ゴールデンタイムに」というミッションのもと、子どもたちが安心して過ごせる居場所の提供や、多様な体験機会の創出を目指しています。近年、共働き家庭が増え、放課後の過ごし方が子どもの成長にどのように影響を与えているのかが重要な課題となっています。
調査の概要
調査は2025年1月に実施され、小学生の子どもを持つ共働き家庭1200名を対象に行われました。年収別に分けて分析すると、年収300万円未満の家庭では、66.2%が習い事をしておらず、52.3%は友達と遊ぶ機会が全くないと回答しました。この結果は、経済的な背景が直接的に子どもの放課後の過ごし方に影響していることを示しています。
経済的要因による体験格差
調査の中で明らかになったことは、低所得層の子どもたちが自宅で留守番する際の活動内容が限られていることです。具体的には、ゲームや本・漫画を読む時間が少なく、スポーツや音楽に取り組むチャンスもほぼないという結果が得られました。また、放課後にパートナーとなる場所、例えば公共施設で遊ぶ機会が少ないという情報も含まれています。これらの結果は、経済的背景が子どもたちの遊びの選択肢にも大きく関係していることを示しています。
子どものニーズと保護者の課題
子どもたちの放課後に対するニーズとして「もっと遊びたい」「友達と遊びたい」「自由な時間がほしい」という声が多く挙げられました。また、保護者からは「子どもが安心して遊べる場所や見守りサービスがほしい」というニーズも強く表れています。現実として、放課後の学童保育の質に対する要望や、体験や習い事を増やすための支援が必要だという声も聞かれました。
放課後の満足度と地域差
調査では、子どもたちの放課後の過ごし方に対する満足度は77.5%と比較的高いものでしたが、年収300万円未満の家庭では27.7%が不満を募らせていることも明らかになりました。この結果からも、経済的要因が放課後の充実度に大きく影響していることが分かります。
社会全体での対応が必要
平岩国泰代表理事は、「放課後における体験格差は、習い事のみならず、遊びの選択肢にも影響しており、子どもたちの学びや育ちに広範囲に及ぶ影響がある」と述べています。この調査を受けて、家庭の経済状況や地域社会の環境が、子どもたちの生活や成長に与える影響についての認識を広め、具体的な対策を講じる必要があります。
今後も放課後NPOアフタースクールは、このような調査を続け、明らかになった課題を解決するための活動を進めてまいります。私たち全員が、子どもたちの放課後をより良いものにするために協力し、未来の世代に豊かな体験を手渡すことが重要です。子どもたちの声に耳を傾け、安心安全な居場所と多様な体験を提供する社会を共に築いていきましょう。