江田島で学ぶ!子どもたちの牡蠣生態調査体験
広島県に位置する江田島は、全国で有数の牡蠣の産地として知られています。この美しい島で、次世代を担う子どもたちが牡蠣を通して海の大切さを学ぶ「瀬戸内こども牡蠣調査団」が開催されました。イベントは2024年7月24日から25日までの1泊2日の日程で行われ、小学5年生から中学2年生までの22名の参加者が集まりました。
牡蠣と海を学ぶ2日間の旅
この調査団は、一般社団法人瀬戸内プロジェクトin広島が主催し、豊かな海を次世代に引き継ぐことを目指しています。海でのつながりを大切にするこのプロジェクトは、日本財団の「海と日本プロジェクト」の一環として実施されました。参加した子どもたちは、まず、自然環境体験学習施設「さとうみ科学館」で江田島の海の特徴や生態系について西原館長から特別講義を受けました。その後、午後はフィールド調査に出発し、実際に海に触れる貴重な体験が始まりました。
里海の生態系を探る
調査団は近くの港でプランクトンを採集し、顕微鏡で観察。海の水質変化や生態系の仕組みについて学びました。また、島戸川河口の干潟では、豊かな干潟の生態系を実際に自分の足で体感しました。最初は戸惑っていた団員たちも、次第にカニの採集に夢中になり、質問を投げかけながら埋もれた知識を吸収していきました。
牡蠣養殖現場の見学
2日目には江田島の名産である牡蠣について深く掘り下げる時間が設けられました。子どもたちは、地元の漁師寺本さんの牡蠣いかだを訪れ、幼生が育つ様子を観察しました。揺れるいかだの上で経験を積むにつれ、団員たちは親近感を持ち始め、牡蠣の養殖が持つ重要な役割を理解していきました。干潮時には牡蠣の幼生が露出し、海の特徴を生かした養殖の実態が見えてくる瞬間もありました。子どもたちは、この探求の中で誕生する新しいアイデアも出し合い、未来の牡蠣産業を考える機会ともなりました。
ブランド向上のアイデアを発表
調査の終わりには、江田島の牡蠣のブランド向上に関するアイデアをグループごとに発表しました。例えば、アジアへの輸出を視野に入れた賞味期限の長い牡蠣せんべいの提案など、斬新な意見が飛び交いました。最終日には、牡蠣殻の廃棄や環境問題についても議論し、地元の環境センターを訪れることで、持続可能な未来への大切な学びを得ることができました。
次なる挑戦へ
この2日間の調査を経て、子どもたちは江田島の牡蠣を通して得た知識を地域社会に広める活動に取り組むことになりました。特に中学生団員は、「教材」としての形で学びをまとめ、今後は県内の小学校でも使用できるようにするなど、積極的な発信を考えています。また、江田島牡蠣新聞を作成し、特別電車に掲出するアイデアも実現に向けて動いています。これにより、子どもたちの学びが地域を越え、より広い社会へとつながっていくことが期待されています。
この「瀬戸内こども牡蠣調査団」は、江田島の豊かな自然を守り、未来を担う子どもたちへと海の大切さを伝えていく活動として、今後も存続し続けてほしいものです。