山梨県における海との関係を理解する
2025年12月9日、山梨県では「海と陸の流通教室」と題した特別授業が二つの小学校で実施されました。この取り組みは、一般社団法人海と日本プロジェクトinやまなしが主催し、山梨県内の小学生を対象に海と陸の物流について学ぶ機会を提供しています。
児童が海に親しむ1日
今回のイベントには、甲斐市立竜王小学校と笛吹市立石和西小学校の5年生、合わせて96名が参加しました。最初の授業は、山梨県埋蔵文化財センターの森原明廣所長が講師を務め、地元の生徒に向けて「魚」と「物流」の視点から山梨県と海の関わりについて詳細に説明しました。
授業では、山梨が「海なし県」であるにも関わらず、いかに多くのマグロが消費されるのかが解説されました。森原氏は、「駿河湾で獲れたマグロが吉原から馬で運ばれ、翌朝には甲府に到着していた」と歴史的な物流ルートを示し、地元の食文化におけるマグロの重要性についても触れました。特にお祝いの席では、貴重な食材として重宝されていたことが強調され、多くの児童がその事実に驚いていました。
物流の変遷と最新のトラック技術
次に、山梨県トラック協会青年部会の早川禮史会長のもと、物流の変遷について学びました。馬や船といった昔ながらの輸送手段に代わり、現代ではトラックが不可欠な存在になっているという説明に、児童たちは興味津々でした。
校庭には実際にトラックが三台用意され、ドライバーたちの協力を得て、トラックの見学や試乗体験が行われました。児童たちは、大きな荷台を持つウイング車の能力や、冷凍車の内部で氷点下の世界を体験することで、商品を安全に輸送するための技術について直接学ぶ貴重な機会を得ました。彼らの中には、「昔は大変だったと思うが、今は技術のおかげで便利になった」との感想を持つ子もいました。
子どもたちの心に刻まれる経験
参加した児童たちは、授業を通じて昔の物流の苦労や現在の便利さを実感し、特に「ごみを捨てることで海に影響が出ることに気づいた」という声もありました。彼らはただマグロを消費するだけでなく、その背景にある海と陸の関係を理解することで、環境への配慮も考えるようになったといいます。
このような取り組みを通じて、次世代に豊かで美しい海を引き継ぐための意識が育まれるのは非常に意義深いことです。「海と日本プロジェクト」による効果的な教育は、今後も更なる発展が期待されます。
総括
今回の授業は、山梨県が直面している特異な状況である海へのアクセスの少なさに対する解決策を見出す手助けとなり、将来的には地域全体が海の存在をより意識し、大切にすることにつながるでしょう。海の未来を考える上で、子どもたちの学びが実を結ぶことを期待したいです。