中学受験がもたらす親子の本音と新たな教育の在り方
近年、中学受験に対する関心が高まっています。特に東京圏では、2025年の受験者数が52,300名に達し、過去40年で3番目の多さを記録する見込みです。このような背景の中、QO株式会社と株式会社スプリックスが共同で実施した「中学受験のホンネ」調査では、親と子どもたちが抱えるさまざまな思いや実情が浮き彫りになりました。
増加する中学受験の需要
教育意識の高まりや競争の激化から、父母の多くは小学3年生の段階で子どもに受験を意識させており、驚くことに11.7%の家庭は未就学児から受験を視野に入れています。こうした動きは、子どもたちにとっての学びの場に多大な影響を与えていると言えるでしょう。
しかし、このような競争は、親や子どもたちに多くのプレッシャーをもたらしており、多くの家庭でコミュニケーションの障害となっています。実際の調査結果によると、親は受験の過程に対する納得度は低く、結果については高い評価をされていることが明らかになりました。「受験勉強が無駄になってほしくない」などという想いから、閉じ込められた感情が双方に存在することが見受けられます。
親の後悔が浮かび上がる
この調査では、親たちが中学受験に対して感じている後悔も浮き彫りになりました。具体的には、25%の親が「自分のプレッシャーのせいで子どもがストレスを抱えたこと」を後悔しているとのことです。また、子どもの成績に目を奪われ、思考を誘導してしまったことや、家族の絆を犠牲にしたことへの後悔も語られています。
一方で、子どもたちもプレッシャーやストレスを感じており、67%は「勉強でストレスを感じるようになった」と回答しています。また、志望校のレベルに達しない自分に対して50%がプレッシャーを感じていることもわかりました。
親と子の不一致する期待
さらに興味深いのは、95%の親が「中学受験に関与している」と述べる一方で、50%の子どもたちは「もっと親に関与してほしかった」と感じていることです。これは、親の支援が子どもには届いていない現実を示しています。セッションや環境整備といった親のサポートが、必ずしも子どもにとってプラスに機能していないことが考えられます。
新たな教育の視点
この調査結果から得られた数々の意見や感情は、中学受験に対する新しい視点を与えるものです。我々は、受験を通じて実現したい「学びや成長の新たなモデル」を体現すべき時に来ています。競争だけでなく、家族の関係を大切にし、子どもたちが健全な学びを享受できる環境を整えることが求められています。これまでの教育の枠組みを見直し、親と子の本音を大切にすることで、より良い未来を築いていく必要があります。中学受験を通して学び直すきっかけを与えるためにも、教育界全体でこの課題に取り組む時が来ています。