子どもたちにアートを届ける「アートパーク構想」
TSURUMIこどもホスピスが進める新しいプロジェクト「アートパーク構想」がスタートしました。この施策は、重い病気を抱える子どもたちやそのご家族、地域の方々がアートを楽しみ、触れることで、心の豊かさを感じてもらうものです。第1弾として、世界的に著名なアーティスト、レアンドロ・エルリッヒ氏の作品が完成しました。
このホスピスは、2016年に日本で初めて設立されたコミュニティ型の施設で、公益社団法人こどものホスピスプロジェクトによって運営されています。主に寄付によって成り立っており、地域社会との連携が重要な役割を果たしています。
重い病気を抱える子どもたちへの思い
重い病気を抱える子どもたちにとって、病院や学校は限られた場所であり、外の世界とは隔絶されています。その中で、常に自分が周囲と異なることで孤独感を抱えることも少なくありません。アートを通じて新しい感情や世界に触れることで、彼らが希望を見出す手助けをすることが、このプロジェクトの目的です。また、アートは地域の方々にも開放され、子どもたちと地域住民とのつながりを深めることも期待されています。
エルリッヒ氏の作品《Infinite Garden(無限のお庭)》は、特にその象徴的な存在です。この作品は、鏡の効果によって、無限に広がる風景を演出しています。子どもたちが作品の中に入り込み、視覚だけでなく、五感全てで体験できるように工夫されています。この体験が、彼らの生きる力を育てるきっかけになることを願っています。
久野友子先生の遺志を受け継ぐ
今回のアート作品は、2022年に逝去した地域の小児科医、久野友子先生のご家族からの寄付によって実現しました。久野先生は子どもたちの福祉に尽力されてきたかたであり、その想いを受け継ぐ形で、広場にアートを設置することが決定されました。子どもたちがアートを見守る姿勢が、彼女の遺志を感じさせてくれます。
イベント情報とエルリッヒ氏のメッセージ
《Infinite Garden(無限のお庭)》のオープニングイベントは、2025年4月26日と27日に開催されます。この日、レアンドロ・エルリッヒ氏がホスピスを訪れ、現地の子どもたちと直接ふれあう機会があります。氏は植物を庭に植えたり、子どもたちに質問をしながら交流を深めることを予定していますが、一般の方は参加できない特別なイベントとなっています。
エルリッヒ氏は、自身の作品に込めたメッセージについて「Infinite(無限)」という言葉の意味を語っています。この言葉には、「計ることができない」という意味が込められており、人は皆、時間という限られた中で生きていますが、その中で如何に生きるかが人生の質を決定づけるといいます。作品によって、子どもたちが多様な植物や生物とともに少しでも新しい感覚を持てることを願っています。
まとめ
TSURUMIこどもホスピスに設置されたアートは、ただの作品ではなく、重い病気を抱える子どもたちの心に希望をもたらす象徴となるでしょう。アートを通じて新しい世界との出会いを楽しみ、家族や地域とのつながりを強めることがこのプロジェクトの核です。この取り組みが広がることで、地域に住むすべての人々が心豊かな生活を送れることを期待しています。