文芸評論家三宅香帆氏が中学生向けに特別授業を開催し言語化を教える

文芸評論家三宅香帆氏が特別講義を実施

2025年12月17日、大阪国際中学校・高等学校で文芸評論家の三宅香帆氏が約300人の中学生に向けて特別授業を行いました。この特別講義は中学生の言語化能力の向上を目的にしており、書籍や出版業界への理解を深める活動として位置づけられています。

読書を通じた新しい価値観の発見

三宅氏は、自著『「好き」を言語化する技術』に基づき、読書の重要性を力強く語りました。彼は、「読書は常識を超えた価値観を伝えるもの」とし、読書感想文を事例にして効果的な発信の方法を説明しました。

生徒たちは熱心に耳を傾け、メモを取りながら三宅氏の言葉を聞いていました。特に、読書によって得られるさまざまな価値観をどのように言語化するかという視点に大きな関心を示し、普段の授業では味わえない刺激を受けた様子でした。

言語化のポイントを実践的に学ぶ

授業の中では、三宅氏が、「具体化」と「自分ごと化」という2つの言語化のポイントを強調しました。具体化とは、経験や感情を具体的に述べることであり、自分ごと化はそれを自分の体験とつなげることです。これらの要素は、生徒们が感情や意見をより明確に表現するために不可欠です。

具体例として、三宅氏は自らの読書体験を振り返り、著書『夜のピクニック』を用いて、どのように具体的に言語化するかを説明しました。この実例は生徒たちにわかりやすく、彼らの理解を深める手助けとなりました。

ワークショップによる実践と発表

授業の終盤には、参加した生徒たちが身近な体験を基に言語化を練習するワークショップが行われました。生徒たちは、この1年での出来事の中から自身の心に響いたポイントを掘り起こし、それを具体的な言葉で表現するという挑戦をしました。自分の経験と照らし合わせながら、発表する姿には多くの真剣さと楽しさが見て取れました。

マイナビ出版の考えとこれからの展望

この講義を主催した株式会社マイナビ出版の角竹輝紀社長は、「読書の楽しさを中学生に知ってもらえる良い機会となった」と述べ、今後も若い世代への支援を続ける意欲を示しました。マイナビ出版は、社会に出る前の若者に向けた教育的な取り組みや、読書や言語に触れる機会を提供することを大切にしています。

このような特別授業の実施は、出版社とクリエイターの協力で実現したものであり、さらに未来の世代に向けた支援活動が広がることを期待しています。今後も、このようなイベントを通じて、若い人たちが新たな価値観を持ち、表現力を身につけていくことが願われます。

三宅香帆氏のプロフィール

三宅香帆氏は、文芸評論家であり、京都市立芸術大学の非常勤講師。多くの著書を持ち、特に若者への言語化教育に積極的に取り組んでいます。彼は、自身の考えや感情を言葉にする力を育むことで、若者たちの表現力を高めたいと願っており、今回の出張授業もその一環となっています。人々が言葉を使って自分を表現できるようになることが、未来に繋がる大切なステップであると彼は考えています。