小学校の水泳授業実施状況
公益財団法人笹川スポーツ財団は、全国の地方自治体における小学校の水泳授業の実施状況を調査した結果を発表しました。この調査は、地方自治体のスポーツ施策の実態を把握し、地域におけるスポーツ振興のためのデータを提供することを目的としています。2024年度の調査から、水泳授業が9割以上の市区町村のすべての小学校で実施されていることが明らかとなりました。
調査の概要
最も注目すべきは、1,140の市区町村の93.4%が「すべての小学校で水泳授業を実施している」と回答している点です。また、「一部の小学校で実施している」と答えたのはわずか2.6%、逆に「すべての小学校で実施していない」との回答は1.2%にとどまりました。これは日本全国の小学校において水泳教育が非常に広く行われていることを示しています。
水泳授業の実施方法
調査に参加した1,076市区町村のうち、公共施設や民間事業者での水泳授業実施方法が多様化していることも特徴的です。水泳授業を「民間事業者に委託」しているのは20.4%、一方で「公共施設等で実施」は44.1%に達しています。また、自校のプール以外で授業を行う学校は約6割で、多くの自治体が自校以外の施設を利用していることがわかりました。
人口規模による差
人口規模別で観察すると、「民間事業者に委託」の割合は「1万人未満」が5.0%、「50万人以上」では64.0%となっており、人口が多い地域では民間委託が浸透していることが見受けられます。これに対し、「公共施設で授業を行っている」割合も「50万人以上」が56.0%で最も高く、都市部における水泳授業の実施形態が浮き彫りになっています。
今後の課題
さらに、調査ではプールの補修や廃止計画についても尋ねています。その結果、17.9%の自治体がプールの補修・改修や建替の計画があると答え、16.9%が廃止の計画がある(既に廃止した学校も含む)としています。中には「補修や改修の計画がある学校はない」とした自治体も多く(68.4%)、将来的なプール施設の維持管理や新規設置が重要な課題であることが認識されています。
まとめ
このように、小学校での水泳授業は全国的に広がりを見せつつありますが、地域ごとの実施形態や今後の計画にはさまざまな課題が残されています。笹川スポーツ財団は、今後もスポーツ振興における研究やデータ分析を続け、地域のスポーツ活動を支える役割を果たしていくことが期待されています。具体的な施策や計画が、子どもたちの水泳教育を支え、より良い環境を整えていくための第一歩となるでしょう。