新たな学びのサポート「やさしい日本語」化ツール
最近、様々なバックグラウンドを持つ子どもたちが日本の教育現場に増えてきています。特に外国につながる子どもや、読み書きに困難がある子どもたちのために、教育現場はどのように対応すべきでしょうか? その答えの一つとして、NPO法人eboardが開発した「やさしい日本語」化ツールが注目されています。このツールは、生成AIを活用し、難解な日本語の文章をより理解しやすく変換するもので、2025年度の実証校を募集中です。
増加する日本語指導の必要性
近年、日本の小中高校での外国につながる子どもたちの増加が顕著です。文部科学省の調査によると、2023年度には約6.9万人が日本語指導が必要とされています。このような背景から、学校での教育支援体制の充実が求められています。しかし、地域による支援の差や、日本語を教える人材の不足が課題として残っています。
「やさしい日本語」の重要性
多言語の地域社会が進展する中で、理解しやすい「やさしい日本語」の活用が求められています。行政機関や支援団体では既に広まりを見せており、教育現場でもその導入が期待されています。eboardは2020年から、ICT教材に「やさしい日本語」の概念を取り入れた取り組みを強化してきました。そして得た経験を基に、生成AIを駆使した「やさしい日本語」への自動変換ツールを開発しています。
生成AIを活用した新しいツール
eboardが開発した「やさしい日本語」化ツールでは、教育現場で使用されるプリントや指示文書を、外国につながる子どもや読み書きの困難さを抱える子どもたちが理解しやすい言葉に変換します。このツールは、将来的には多言語への翻訳機能も搭載される予定です。
学習支援の対象と期待される効果
このツールは、以下のような子どもたちに特に有効とされています:
- - 日本語の習得に時間を要する外国の子どもたち
- - 聴覚情報よりも視覚情報から理解することが得意な子どもたち
- - 読み書きに困難があり、サポートが必要な子どもたち
具体的には、小・中・高等学校や特別支援学級、フリースクールなど、多様なニーズをもつ子どもたちが在籍する場合に活用が見込まれています。
2024年度の実証実験では、教員が作成した授業プリントをこのツールを通じて変換し、理解度の向上が確認され、学習意欲が高まりました。また、連絡帳を「やさしい日本語」に変換することで、保護者とのコミュニケーションがスムーズになったという声も多く寄せられています。
2025年度の実証校を募集中
今回、NPO法人eboardでは「やさしい日本語」化ツールの実証に協力いただける学校や教育機関を募集しています。協力内容には、ツールの利用やフィードバックの提供が含まれます。具体的には、以下のような条件が設けられています:
- - 対象団体:外国につながる子どもや特別な支援が必要な子が在籍する教育機関
- - 提供内容:ツールの無償提供、活用サポート、研修機会の提供
応募方法は公式の応募フォームから可能であり、多くの参加を期待しています。
NPO法人eboardの使命
eboardは「学びをあきらめない社会」を目指し、経済的、地理的な課題を抱える子どもたちに学習機会を提供しています。約2000本の映像授業と1万問以上のデジタルドリルを揃え、公立学校や支援団体などへの利用を無償で提供しています。12,000ヶ所以上で使用されており、毎月20〜30万人が利用しています。公益財団法人トヨタ財団や株式会社セールスフォース・ジャパンの支援も受け、さらなる発展を目指しています。
教育の未来を担う子どもたちのために、eboardの取り組みが一歩先へ進むことを期待しています。