牛革ランドセルが育む命の物語
子どもたちが毎日学校で背負っているランドセル。その中でも特に人気の高い牛革ランドセルの製作過程を、美しい写真と共に学ぶことができる新しい絵本が登場しました。
『手から手へ、皮から革へ。牛革のランドセルができるまで』(文一総合出版)は、9月20日に発売され、命のつながりシリーズの第9弾として注目を集めています。
この絵本は、牛革という素材の視点からランドセルがどのように作られるのか、職人の手による驚きの工程をクローズアップします。特に、牛専門の牧場や革なめし工場での貴重な瞬間を捉えたダイナミックな写真が満載で、子どもたちが革製品に対する愛着を深めることができる内容となっています。
ランドセルができるまでの工程を深掘り
出版元である文一総合出版は、自然科学の分野に特化した出版社であり、革という素材がどのように使用されるかを読者に伝える重要性を感じています。絵本の中では、牛の皮が職人の手によって「革」として生まれ変わる様子や、その後ランドセルへと形を変えていく過程を、詳細に描写しています。ランドセル工房での丁寧な手作業や、牧場で愛情深く育てられる牛たちの姿は、子どもたちの心に響くことでしょう。
絵本の末尾には、革に関するQ&Aも掲載されており、牛の皮がランドセルになるまでの全ての工程を具体的に紹介しています。この情報は、子どもたちにとって興味深く、かつ教育的です。
牧場主と職人の愛情を知る
著者の上吉川祐一さんは、牛革の製作に関わる職人たちの働きを撮影する中で、この絵本の物語が生まれました。特に印象的だったのは、牧場主の盛本さんの言葉です。「命を育て、頂くこと」への彼の思いは、牛たちと向き合う中での感情を強く表現しています。食事中、涙ながらに語った彼のメッセージは、牛たちが心を込めて育てられ、私たちに生命を提供してくれる存在であることを教えてくれます。
私たちは日々、肉や魚、野菜など、他の生命体の「いのち」をいただいて生きています。この絵本を通じて、そんな命に対する感謝の気持ちを思い起こしてもらえることを、著者は心から願っています。
牛革の魅力を伝えたい
牛革は非常に丈夫で、使えば使うほど光沢が増します。そのため、大切に使うことが求められるのです。この絵本は、ただの読み物ではなく、子どもたちに教えできる要素がたくさん詰まっています。しっかりとした内容と美しい写真で、子どもたちが物の大切さや命のつながりについて考えるきっかけを提供する一冊です。
この絵本は、全国の書店やWEB書店で購入でき、さらにジュンク堂書店姫路店では、本書のパネル展も開催中です。多くの児童書が並ぶ空間の中で、牛革ランドセルの魅力を実際に感じることができるのも、特別な体験です。
最後に
新たに登場したこの絵本は、ランドセルを背負った子どもたちはもちろんのこと、親にとっても学びを促す内容となっています。「命」を学びながら、持続可能な生き方の一端に触れてみませんか?牛革ランドセルの製作過程を学ぶことで、日常生活の中での感謝の気持ちを高めるきっかけになることを願っています。