障がいのある子どもも楽しめるピアノレッスンの新たな扉を開く

音楽はボーダレス――障がいを持つ子どもたちのためのピアノレッスン

近年、義務教育段階の児童生徒数は減少する一方、特別支援教育を受ける子どもたちの数は増加しています。この背景において、障がいを持つお子さまが「ピアノを習いたい」と希望しても、受け入れを断られることが多いのが現状です。そのため、多くの保護者は「他の子どもと同じように習い事をさせてあげたい」と望んでいても、その選択肢が限られているのが実情です。

そんな中、「音楽はボーダレス」を理念とするAmi.porte（アミポルテ）は、下関、茨城、宮城の各地で障がいを持つお子さま向けにピアノレッスンを展開しています。この教室では、音楽を通じた楽しみ方を教え、さらには英語も同時に学ぶことができるプログラムを提供しています。

事例紹介

Sちゃん（仮名・6歳／自閉症スペクトラム）

初めてグループレッスンに参加したSちゃんは、教室の隅に座って他の子どもたちとの関わりを避けていました。しかし音楽が流れ始めると、彼女の体が少しずつリズムに反応し始めました。周りの子どもたちが「一緒にやろう！」と声をかけると、彼女は戸惑いながらも小さく頷き、グループに加わりました。その瞬間、教室の雰囲気が一変し、優しさに包まれました。お母様は涙を流しながら、彼女が他の子と関わる姿を見られたことに驚きと感動を表しました。

Aくん（仮名・8歳／重度知的障がい）

Aくんはお母さまに連れられてきた際「うちの子にピアノは無理だと思う」と不安そうでした。しかし、明るいメロディの魅力に引き寄せられ、徐々に鍵盤に手を伸ばし始めました。彼が鍵盤を繰り返し弾く姿は、言葉にできないほどの輝きに満ちていて、お母さまも驚きと喜びの涙を流しました。「他の教室では難しいと断られてきたのに、ここではこんなに楽しめるなんて…」と話されました。

音楽を通じた心のリフレッシュ

アミポルテでは「教える」のではなく、子どもたちの個性を“引き出す”指導を大切にしています。レッスンは「子どもは子どもの時間、親は親の時間」というスタイルで行われ、親御さんが付き添わなくても安心して過ごせる時間を保証しています。音楽の世界に夢中になったお子さんと、少しの間自分の時間を楽しむ親御さん。その双方にとって、リフレッシュできる貴重な瞬間が生まれています。

代表の神野由香さんは「音楽の前に境界線はありません。本当にどんなお子さんにも“できる”瞬間があるんです。その扉を開き続けることが私たちの使命です。」と語ります。