戦争を知らない世代へのメッセージ。小泉氏の特別授業報告
2025年8月3日、愛知県大府市にて特別授業が開催されました。このプログラムは、株式会社Gakkenの協力を得て行われ、テーマは「僕らは戦争を知らない」です。東京大学の小泉悠准教授が講師を務め、戦争の根本的な問題について参加した中高生たちに深い視点を提供しました。
講義の中で、小泉氏は「なぜロシアはウクライナに攻め込んだのか?」という問いを掲げ、参加者に安全保障や国際関係の基礎をわかりやすく解説しました。この特別授業は、込み入った現実の問題を考えるための大切な場となりました。
パネルディスカッションでの熱い議論
授業後は、小泉氏を中心としたパネルディスカッションが行われました。登壇したのは、大府市の高校生平和大使たちです。彼らは、今年の7月に鹿児島県で行われた特攻隊に関する歴史学習の成果を基に、3つのテーマについて議論を展開しました。
人はなぜ戦争をやめられないのか?
1つ目のテーマである「人はなぜ戦争をやめられないの」では、意見が相次ぎました。高校生たちは、「個人同士の対立も難しいのに、国同士のけんかはなおさら難しい」と共感しあい、相手への不安や歩み寄りの重要性に言及しました。
なぜ話し合いで解決できないのか?
続いてのテーマ「なぜ話し合いで解決できないの?」については、価値観の異なる国同士の対立から譲歩が難しい現実を指摘しました。小泉氏も、「話し合いが必要だが、暴力を選ぶまでの多様な選択肢がある」と強調し、さまざまな方法で問題解決を図ることの重要性を説きました。
日本の戦争の記憶を風化させないために
最後のテーマで、「日本の戦争の記憶を風化させないにはどうすればよいか?」に関しては、参加した高校生たちが自らの経験をもとに、後世に伝える努力を惜しまない姿勢を示しました。それに続いて、小泉氏は「歴史を学ぶことで、なぜ戦争が起こったのかを考えることが大切」と付け加えました。
感想と今後の取り組み
授業を通じて高校生たちが得た学びは、彼らの意識に実を結び、戦争に対する理解を深める機会になりました。参加した高校生平和大使の中には、「学校で学べない問題を知り、次は自分の学校でも戦争の重要性を広めたい」と意気込む声も多く聞かれました。
小泉氏も、プログラムの終了後に「今回は素晴らしいリーダーたちが集められた。彼らが未来の平和を築く担い手になることを期待しています。」とコメントしました。
今回は、特別授業を通じて中高生が平和について深く考えるきっかけとなったことはもちろん、次世代のリーダーを育むための貴重な経験ともなりました。これからも、多くの人々がこの問題に対する理解を深め、共に考えていける場が増えていくことを願います。