地元の自然と歴史を学び、未来に語り継ぐ
山口県田布施町で行われた「海ノ民話アニメーション『ゆき姫物語』」の完成を祝うフィールドワークが、2025年3月10日に実施されました。このイベントは、一般社団法人日本昔ばなし協会と日本財団の「海ノ民話のまちプロジェクト」の一環として、小学6年生を対象に行われました。
参加者は23名、彼らは田布施町の馬島に渡船で約10分かけて向かいました。馬島は物語の登場人物である久左衛門が船の渡し守をしていた場所であり、その歴史を深く知る貴重な体験が始まりました。
馬島の歴史を学ぶ
到着後、田布施地方史研究会の林芙美夫会長が馬島の歴史について語りました。物語が描かれた室町時代、島の住民は漁業に依存し、久左衛門が朝鮮貿易で成功したことで島は栄えていきました。一方で、船の事故も多発していたとのこと。参加した子どもたちは、その話に耳を傾けながら、馬島の歴史がどのように物語に影響を与えたのかを学びました。
刎島への移動と新たな発見
その後、参加者たちは歩いて物語のもう一つの舞台である刎島へ向かいました。この日は潮の引き具合が良く、参加した子どもたちは無人島の刎島に渡ることができました。ここでも林会長から刎島の歴史を学び、田布施町紙芝居の会の平井洋子会長が「ゆき姫物語」以外にも多くの民話が存在することを紹介しました。田布施町に伝わる36作品の紙芝居は、先人たちの教訓や思いを語り継ぐ重要な役割を果たしているといいます。
参加者の感想:未来を見据えた体験
実際にフィールドワークに参加した児童たちからは、様々な感想が寄せられました。ある参加者は「馬島には来たことがあったが、歴史的なことを直接聞けて良かった」と述べ、また別の児童は「朝鮮貿易でこの島が栄えていたとは知らなかった」と驚きを示しました。それぞれが体験を通じて、地域の歴史を知り、他の民話についても興味を持つきっかけとなったようです。
伝えたい海との関わり
「海ノ民話のまちプロジェクト」は、海との関わりや地域の学びを次世代に伝え、海の環境や文化を守ることを目的としています。このフィールドワークを通じて、参加者たちはアニメーションが持つ教育的価値を実感し、今後も地元の歴史や文化を大切にする気持ちを育んでいくことが期待されています。
このように、「ゆき姫物語」を通じて語られる物語は、子どもたちが地域の歴史を学び、次世代にその知識を引き継ぐための重要な架け橋となっているのです。