八戸の海を学ぶ2日間
青森県八戸市で行われた「海からひらけた街八戸あおもりイカ調査団」は、地元の小学生たちが参加した体験学習イベントです。このプロジェクトは、次世代に美しい海を受け継ぐことを目指し、子どもたちに海をテーマに知識を深める機会を提供しました。開催日は2025年9月13日から14日の2日間、特に多くのイカの水揚げ量を誇る八戸漁港を舞台にしました。
イベントの背景
八戸は歴史的に漁業が盛んな地域であり、イカをはじめとする海の幸が豊富です。しかし、近年は気候変動による影響もあり、イカの漁獲量が減少しています。このため、参加した子どもたちには漁業の現状や環境問題について深く考えてもらうことが重要です。
特別な体験
八戸第二魚市場
1日目、子どもたちは八戸第二魚市場を訪問し、実際の漁業の現場を見学しました。早朝から賑わう市場では、競りや入札が行われています。水産事務所の鈴木さんが、イカ釣り漁船の特徴や漁の方法について説明し、参加者たちは実際に漁船を目にしました。また、模擬競り体験では、児童たちがチームに分かれて活発に競りを体験し、とても楽しむ姿が見られました。
海鮮市場での観察
次に訪れたのは、八戸市内の海鮮市場。ここでは、どれだけの魚種が並んでいるのか、値段はどのくらいなのかを学びながら、八戸漁港に関連する様々な情報を鈴木さんから聞きました。その後、実際にイカを捌く体験も行われ、児童たちはスルメイカとアオリイカを熟練した職人から教わりながら捌いていきました。
環境問題への理解
1日目の終わりには、八戸市水産科学館マリエントでの学びが待っていました。水産研究・教育機構の森川さんが「海水温の上昇」と「魚種交替」のメカニズムについて説明し、子どもたちは潮の流れとその影響を理解しました。
加工品についての調査
イベント2日目は、食品の加工について学ぶため、青森県産業技術センター食品総合研究所を訪れました。プロフェッショナルから新しい食品の開発や、地域の特産品を生かした加工方法についての指導を受け、さまざまな話題で盛り上がりました。質疑応答では、子どもたち自身が新メニューのアイデアを出し合い、楽しい議論がなされました。
新メニューの試作
最終日には、あおもりイカの代わりにヒラメとハマチを使った新メニューを考えました。チーム対抗で工夫を凝らした料理を作り、最高のメニューを決定します。講師には出汁ソムリエの奥村さんが参加し、プロの技を学びながら、子どもたちの創造力を引き出していきました。
参加者の声
イベントに参加した子どもたちや保護者からは満足の声が多く寄せられました。普段見られない漁業の現場や新しい食文化の創造体験は、子どもたちにとって忘れられない思い出となりました。
「普段の生活ではできない経験ができた」の声や、「模擬競り体験が特に楽しかった」との感想が印象的でした。また、保護者からは、子どもがこの体験を通じて海の環境問題について考えるようになったとの報告もあり、未来を担う子どもたちにとって、貴重な学びとなったことがわかりました。
このプロジェクトは「海と日本プロジェクト」の一環として、全国の海洋環境への理解を深め、子どもたちに責任感を育む取組みを進めています。これからの海を守るため、未来の世代にどのように引き継いでいくことができるのか、私たち大人の責任も問われています。