バルセロナの公教育における日本発のデザイン教育プログラムの実践
ボーダレスデザインスクール株式会社(東京都港区)の代表、久保雅子氏が手がける独自のデザイン教育プログラムは、2023年秋にスペインのバルセロナで実施されました。このプログラムは、地域文化の交流をテーマに、日本文化とカタルーニャ文化の理解を促進するものです。CASA ASIAとの連携により、バルセロナ市内の小学校、高校、社会人向け教育機関で行われ、生徒たちの創造性を育む機会を提供しました。
プログラムが行われた場所は、バルセロナの文化的な交差点であり、地域の教育やコミュニティが融合する小学校や、多様な背景を持つ高校、リカレント教育を受ける大人向けの学校です。参加者は、それぞれの文化に触れ、自身の経験を通じて、日本の文化独自の要素を色や形、デザインとして表現しました。単なる知識の取得ではなく、自分自身の見解で文化を探求する過程が重視されています。
自分の問いを持つ力を育てるために
現代は、すぐに求める情報が得られる時代。しかし、今後の社会で必要なのは、情報を鵜呑みにするのではなく、自分の視点を持ち、「なぜ?」と問い続ける力です。特に、文化やデザインに関しては、たった一つの正解は存在しません。あらゆる文化が独自の色や形を持つため、自分自身の感覚をもとに、その意味を解釈することが求められます。
ボーダレスデザインスクールでは、参加者が自身の問いを見つけ出し、それを表現し、対話に変えるプロセスが重視されています。このアプローチにより、創造性は単なる表現手段ではなく、対話を通じた深い理解へと結びつくのです。
多様な教育現場での取り組み
バルセロナでのプログラムは、小学校、高校、そして社会人向け学校という異なる環境で展開されました。小学校では、地域密着型の活動として、子どもたちが自分の理想的なリーダー像を色や形で表現しました。高校では、異文化背景を持つ生徒同士が共に、日本文化とカタルーニャ文化について思索し、デザインを模索する授業が行われました。社会人向けのセッションでは、多国籍の参加者が自身の経歴や経験を持ち寄り、文化の理解を深めました。
CASA ASIAとの連携で育む多文化理解
CASA ASIAは、アジアとスペインの文化的な架け橋をつくる機関であり、今回のプログラムもその理念のもと行われたものです。アジア太平洋地域の文化的・社会的多様性を教育現場に届けることで、異文化理解の機会を作り出しました。ボーダレスデザインスクールは、文化の違いや共通性を発見し、それを自分の経験に結びつける重要な活動の場となりました。
創造性教育の未来を見据えて
プログラムに参加した子供達や大人たちは、自らの文化を知ることで、異文化に対する理解と共感を育むことができました。ボーダレスデザインスクールは、今後も子どもから大人までを対象に、創造性を育てるプログラムを提供し続ける計画です。AI時代に必要な「問いを持つ力」を育むことで、多文化共生の新たな形が生まれることを願っています。
今後は、学校だけでなく自治体や企業向けにもプログラムを展開し、創造性教育を広める活動を強化していく予定です。デザインやアートを通じて、異文化が持つ豊かさを体験的に学ぶことができる機会を、さらなる多くの人々に提供していくことを目指します。