世界予防接種週間と麻疹の脅威
毎年4月の最終週にあたる「世界予防接種週間」が、今年2025年もやってきます。この期間は、世界中でワクチン接種の重要性を再認識し、特に子どもたちを守るための活動が行われます。現在、私たちの目の前には麻疹(はしか)という感染症が新たな脅威となっているのです。コロナ禍以降、世界各地で感染者が増加しており、日本でもその影響がじわじわと実感されています。
はしかの特徴とリスク
はしかは麻しんウイルスによって引き起こされる病気で、高熱や全身に広がる発疹、さらに口内にできる白い斑点が特徴的です。この病気は免疫を侵害し、重篤な合併症を引き起こす可能性があります。ハーバード大学の調査では、発症後に獲得免疫の最大73%が失われることがあるというデータもあります。
さらに、はしかの感染力は非常に高く、1人の感染者が約12人にうつると言われています。これは実に他の感染症と比較しても強力であり、予防接種以外の手段では防ぎきれません。ワクチン接種を行うことで94%から95%の確率で免疫を獲得することができ、2回の接種でほぼ全員が免疫をしっかりと得られます。
世界的な流行の現状
最近、ユニセフや世界保健機関(WHO)による報告では、2024年の世界におけるはしかの発症件数が359,521件に達したことが伝えられています。特にヨーロッパや中央アジアでは、12万7350件もの発症が確認されており、これは1997年以降の最多記録です。これに加え、ほとんどの発症者はワクチン接種を受けていないか、1回だけの接種にとどまっています。また、アメリカではテキサス州を中心に大流行が報告され、600人以上が感染、うち2名の子どもが命を失うという痛ましい結果も出ています。
日本における状況
国内に目を向けてみると、国立感染症研究所によると、今年のはしかの症例数は3月末時点で58件に達しており、昨年同時期の2倍以上に増加しています。日本はかつてははしかの清浄国として知られていましたが、近年のワクチン接種率の低下により危機感が高まっています。特に海外から帰国した人が感染を持ち帰るケースが目立ちますが、渡航歴のない感染例も増加していることは大きな懸念材料です。
ワクチン接種の必要性
感染症の拡大を防ぐためには、まずワクチン接種を受けることが重要です。世界化が進む現在、人の移動に伴い感染症も国境を越えて広がりつつあります。この現象は、私たち日本に住む子ども達にとっても決して他人事ではありません。私たちは、途上国の支援を行う「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)を通じて、ワクチン接種の普及と、感染症を未然に防ぐための活動を続けています。
私たちの未来を守るため、大切な子どもたちを感染症から守るために、積極的なワクチン接種と啓発活動が求められています。私たち一人ひとりの行動が、世界のどこでも、感染症によるリスクを減少させる力に繋がるのです。今後とも、子どもたちの健康を守るために、ワクチン接種を促す活動が重要であることを改めて理解し、行動していくことが求められています。