全国47都道府県における妊娠・出産に関する調査
2024年、日本の出生数が初めて70万人を下回る68.6万人となることが予測され、少子化が依然として大きな社会問題となっています。この問題を背景として、アンファーが行った「将来の子ども希望」についての調査結果から、妊娠や出産に関する不安が男女両方に広がっていることが明らかとなっています。
調査結果の概要
あらゆる視点から妊娠・出産に関する難しさや不安を探求した今回の調査は、全国47都道府県の2,188人を対象に実施され、以下の三つの主要な不安要素が浮かび上がりました。
1. 経済面の不安
2. 働き方の影響
3. 身体的・精神的な不安
経済面の不安
調査によると、妊娠・出産における経済的な不安は特に20代から40代の女性において顕著であり、30代女性の57.5%、40代女性の47.4%がこの点を挙げています。これを受け、婚姻や妊娠といったライフイベントが経済的事情に影響される様子が明らかになりました。また、年収と出産希望の間にも大きな関連が見られており、「将来子どもを希望している」女性の平均年収が217万円に対し、「子どもがほしいが難しい」と考える女性は162万円と、55万円もの差が生じています。このデータは、経済的な状況がそれぞれの選択に強い影響を与えることを示唆しています。
物価高や賃金低下といった厳しい経済環境が、これらの不安を一層深刻化させている背景が見え隠れします。
働き方の影響
妊娠を希望する女性の多くは、正社員という安定した雇用形態を選ぶ傾向にあり、この層における正社員の割合は50.0%に達しています。一方、「子どもがほしいが難しい」と回答した女性の正社員の割合は40.7%にとどまり、さらにアルバイトやパートの割合は27.5%となっています。柔軟な働き方の選択肢が少ないことが、妊娠・出産への心理的障壁となっている可能性があります。
また、妊娠を希望する女性の中で約25.4%が在宅勤務やフリーアドレスなどの柔軟な働き方を選んでいるのに対し、「子どもがほしいが難しい」と感じる層はその割合が15.4%にとどまり、約10ポイントの差が見られました。このことから、雇用の安定性や勤務形態の柔軟性が、妊娠・出産に関する意識や選択に影響を与えていると言えます。
身体的・精神的な不安
また、健康や夫婦関係に関する不安も複雑な要素として浮かび上がりました。特に30代と40代の女性は、自身の健康への不安を抱える割合が高まっており、妊娠リスクや不妊治療への懸念が強くなっています。逆に20代女性の健康への不安は非常に低い傾向にあります。
精神的な圧力も無視できません。30代男性の約34.4%が仕事や将来に対するストレスを感じており、これが無意識のうちに妊娠への不安に直結していることが示唆されます。さらに、40代男性はパートナーからの理解と協力が得られないと感じる割合が27.8%に上りましたが、30代男性はこの割合が9.4%という結果でした。このことからも、年齢による視座の変化が見て取れます。
男性不妊に関する見解
不妊治療の名手である辻村教授は、男も健康へ意識を向ける重要性について言及しています。調査からもわかるように、男女ともに経済的、身体的、心理的な不安が妊娠・出産に重くのしかかっており、理解し合うことが妊活の鍵になると強調されました。 特に男性不妊については意識が低い現状があり、自分事として捉える必要があります。こうした課題を解決するためには、妊活を効果的に行う情報やサポートを受けることが重要です。
まとめ
近年の少子化社会において、妊娠・出産に関する不安や問題は男女共通の課題です。これらの不安が妊活のハードルを高くしている現状をふまえ、男女ともに健康への意識の強化とパートナーシップの重要性が必要です。未来の家族のために、今からできることを考えることが重要な課題でしょう。