長期休みに子どもが自宅留守番する現状とその課題
特定非営利活動法人「放課後NPOアフタースクール」が実施した調査では、小学生の長期休みの過ごし方が浮き彫りになりました。調査は東京都文京区に本部を置くこの団体が、就労家庭に属する小学生のおよそ1200名を対象に行ったものです。結果、長期休みに自宅で留守番をしている子どもたちの割合は全体で50.6%、特に高学年では61.9%と高く、学童保育への不満の声も多く寄せられています。
留守番の実態と子どもたちの声
調査の結果、自宅で過ごすことが多い小学生の家庭では、旅行やサマースクール、友達と遊ぶ機会が少ないことが明らかとなりました。全体で77.8%の子どもが「サマースクール・キャンプ・旅行等」を経験しないと報告しており、40.8%が友達と遊ぶ機会も「なし」と答えています。特に年収300万円未満の家庭では、その割合がより顕著で、92.3%が旅行体験を持たず、56.9%が友達と遊んでいないとの結果が示されました。
これにより、特に低所得層の子どもたちが孤立しがちであることが見て取れ、居場所や体験の不足が深刻な状況です。子どもたちからは「旅行に行きたい」「いろいろな体験をしたい」という切実な要望が上がりますが、具体的な機会には恵まれない現状が存在しています。
親のニーズと学童保育の現状
保護者の中には、「安心して子どもを預けられる場所が欲しい」「さまざまな体験をさせてあげたい」という声が多く、働いているためにその実現が難しいという現実が浮かび上がります。さらに、学童保育期間中に「学童は楽しくない」という不満も散見され、全体で43.5%の子どもたちが学童保育に参加しているものの、その多くは低学年に集中しており、61.0%が学童環境への興味を失っているとの調査結果が報告されました。
このように、自宅での留守番が多く、友達と遊ぶ機会が限られている中で、子どもが楽しめる環境を提供することが急務とされています。学童保育の運営者も、長期休みの制度においてさまざまな課題を抱えており、持続可能なシステム構築が求められています。
地域と社会の役割
調査の結果から、質の高い放課後の環境や居場所を整備する必要性が改めて強調されており、地域の多様な選択肢を増やすことも求められています。子どもたちが自発的に遊べる場を提供するために、国や自治体、民間団体が互いに協力して、子ども同士が安全に遊べるような居場所を作り出すことが急務です。
結論
今回の調査を通じて、長期休みにおける小学生の過ごし方の実態が明らかにされたことは、今後の改善策を講じる際の重要な基盤となります。子どもたちが声を上げている「もっと遊びたい」「友達と一緒に過ごしたい」というニーズに応えるためには、子どもの視点で考えた仕組みや環境への進化が急務です。放課後NPOアフタースクールは、この実態調査を継続するとともに、社会全体に響く情報発信を目指しています。