子ども主体の保育がもたらす新しい風
『子ども主体の保育をつくる56の言葉』は、玉川大学の教授であり、子ども主体の保育の提唱者である大豆生田啓友氏による著作です。2025年5月22日に出版予定の本書は、保育現場で直面する「べき」「ねば」という先入観を取り払い、より楽しく子どもたちをサポートするためのヒントが詰まっています。
「べき」「ねば」から「ワクワク」へ
保育の質が求められる現代、子どもたちの「主体性」をどこまで受け入れるべきかについては、様々な疑問が存在します。この本では、その疑問を大豆生田教授がわかりやすく解説し、実際の保育の場で役立つアドバイスが多数紹介されています。
大豆生田氏は、「子ども主体」とはいわゆる自由や自主性だけでなく、それぞれの子どもが持つ「その子らしさ」や「当事者意識」に目を向ける重要性を強調しています。これは、保育者やその周囲の者が持つ「思い込み」を一度見直し、子どもとの対話の中から新しい発見を探るプロセスに他なりません。
本書の主な構成
本書は、環境構成、あそび・生活、子どもとのかかわりといった三つの観点から構成されています。各章では基本的な考え方の理解を深めるための内容が展開されており、多くの実践例が紹介されています。
環境構成の再考
例えば、環境づくりについては「絵本は季節ごとに選ぶべき」との思い込みを打破し、子どもたちの興味を反映した絵本棚を作ることを提案しています。また、壁面や製作素材についても、柔軟性を持たせることの重要さを指摘しています。このような実践により、子どもたちには自ら選ぶ喜びが育まれます。
あそびと生活の見直し
子どものあそびや生活のスタイルを見直すチャンスもこの本にはあります。例えば、散歩のルートについて「いつも同じ」ではなく、子どもたちの興味や意欲に応じて変化させることで、豊かな経験を提供することができると述べられています。さらに、食事の場でも子どもたちが選択権を持つことで、より深い学びが得られることが提案されています。
子どもとのかかわり方の変更
子どもとのコミュニケーションの仕方についても改めて考えるべき点があります。「気になる子ども」だけに目を向けるのではなく、全ての子どもの思いや願いを尊重する必要があります。また、保育者自身が充実した活動を行うことで、子どもたちにも落ち着いた環境を提供できるのです。
実践事例と具体的な変更点
本書は理論的な説明だけでなく、実際に保育を変えた園の実践事例も数多く紹介しています。これらの事例は、保育現場における実用的なアイデアを提供し、読者が自分の園で実践できるように工夫されています。
大豆生田教授からのメッセージ
大豆生田教授は、本書を通じて多くの保育者に対し、子ども主体の質の高い保育を理解することの大切さを強調しています。子どもたちの多様な思いや希望を尊重することで、彼らが自己を表現できる環境を整えていくことが、未来の保育の鍵となるでしょう。
まとめ
『子ども主体の保育をつくる56の言葉』は、教育者や保育士、保護者など、子どもたちの成長に関わる全ての人々にぜひ手に取っていただきたい一冊です。子どもたちの主体性を引き出すための手助けをし、楽しい保育の形に変わるきっかけを与えてくれます。