新設された日本ADHD協会が掲げる地域支援と理解の拡大

日本ADHD協会の設立とその意義

2025年7月17日、東京都江東区に一般社団法人日本ADHD協会が設立されました。ADHD（注意欠如・多動症）とは、子どもから大人まで影響を与える発達特性であり、診断を受ける人は年々増加しています。しかし、その特性に対する理解が不足しているため、学齢期や社会生活において様々な困難に直面する主に当事者の方々が多いのが現状です。

日本ADHD協会の目的

当協会は、「ADHDのある方が、自分らしく生きられる社会の実現」を目指すため、様々な活動に取り組んでいます。具体的には、教育、医療、福祉の分野と連携し、ADHDを理解しサポートする体制を作ることを重点としています。特に、当事者とその家族が孤立することなく、安心して生活できるような地域全体の理解を促進していく方針です。

設立の背景

近年、ADHDの診断を受ける守成人の数が増加し、特に30歳時点での雇用率は約35%となっています。この割合は、一般の274%よりも大きな差があります。この結果は、ADHDの特性が社会生活や就労に多くの困難をもたらしていることを示しています。職場における発達障害に関する支援制度は限られており、多くの当事者が支援を受けられずに離職しているのです。

具体的な活動内容

日本ADHD協会では、様々な事業を通じてADHDへの理解を深め、当事者やその家族を支援していきます。主な活動内容は次の通りです：

- 正確な知識の普及：ウェブサイトやSNS、パンフレットを利用し、教育機関などへ出張授業を行いながら、ADHDに関する情報を広めています。
- 相談支援サービス：電話やメール、オンラインチャットを活用し、ADHDの当事者やそのご家族からの相談に幅広く対応しています。専門家がサポートすることで、安心して相談できる環境を整えています。
- 教育・医療機関との連携：教職員や医療従事者向けに研修を実施し、ADHDの理解を深め、適切な支援を提供する体制を築いています。
- 職場環境の改善：企業や自治体と連携し、職場における合理的配慮を普及させるとともに、相談窓口の設置を進めています。これにより、ADHDのある方が持続可能に働ける環境づくりを支援しています。
- 政策提言と研究支援：ADHD支援制度の改善に向け、関係機関に提言を行います。また、最新の研究や調査に協力し、科学的な知識の蓄積に寄与していく予定です。

ADHDの理解を深める

ADHDは病気ではなく、脳の発達の違いによって生じる特性です。集中力の維持が難しく、衝動的に行動することがあるため、周囲との摩擦を生じることもあります。しかし、正しい支援と理解があれば、自分らしい人生を送ることが可能です。当協会は、この特性を生かした生活ができるように努めます。

今後の展望

日本ADHD協会は、今後も多方面での活動を強化し、ADHDの当事者やその家族が孤立することがないよう支援とネットワークの充実を図ります。また、現場で得られた声をもとに、より良い社会づくりに寄与することを目指します。「一人ひとりの違いが尊重される社会」の実現に向け、私たちは引き続き努力してまいります。

お問い合わせや詳細は、日本ADHD協会の公式サイトをご覧ください。