未来を担う子どもたちが学ぶ養殖漁業の重要性
2025年11月9日、高知県室戸市にある室戸世界ジオパークセンターで「高知オーシャンキッズスクール 東部エリア編」が開催されました。このイベントは、次世代へ美しい海を継承するための取り組みの一環として実施され、県内の小学生たちが参加しました。
背景:変化する海と魚資源の現状
近年、魚に含まれる栄養素(DHAやEPAなど)の注目度が高まり、世界中で魚を食べる人が増えています。しかし、地球温暖化や魚の乱獲が深刻な問題となっており、海の魚は年々減少しています。高知県でも、黒潮の動きや気候変動による影響で漁獲できる魚の種類が変わってきています。このような状況に対し、高知では「獲る」から「育てる」ことを目的とした養殖漁業の研究が進んでいます。
このイベントでは、海の多様性とともに、地域の海を守る意義を小学生たちが学ぶことが目的でした。参加したのは県内の小学生6人。気象予報士や大学教授などの専門家から多くのことを学びました。
地球温暖化の影響を学ぶ
最初に登壇したのは、山岸気象予報士。彼女は、地球温暖化が海に与える影響について解説しました。海水温の上昇、海面の上昇、そして海洋の酸性化といった変化を通じて、高知の海の現状を考えました。また、特に四国・東海沖の海域が日本の平均よりも早く温暖化が進んでいることを強調し、問題意識を共有しました。
参加した子どもたちは、この講義を通じて温暖化の影響が身近なものであると実感し、それにどう立ち向かうか自ら考える機会を得ました。
室戸の海とマイクロプラスチック問題
続いて、工藤邦史地質専門員が室戸海域の特徴について説明しました。急深の海岸地形により、室戸では近海でキンメダイなど深海魚が獲れることを学びました。海洋深層水の利活用も進める中、しかし近年の海洋プラスチックごみの影響も無視できません。実際に収集した砂を顕微鏡で観察するアクティビティも行われ、マイクロプラスチックの影響やそれが人体に与える可能性について考えました。
養殖漁業とその重要性
高知大学の大島教授と宝金特任助教授は、魚が食卓に並ぶまでの「リレー」に関わる仕事を紹介し、養殖漁業の重要性を説きました。養殖技術やそのメリット・デメリットについても深く掘り下げ、実際に養殖されているマダイやヒラメの稚魚を観察しました。子どもたちは生きた魚を見ることで、養殖の技術や魚の生態に対する理解を深めました。
参加した子どもたちの声
子どもたちは、「マイクロプラスチックが人にも影響があることにショックを受けた」と感想を述べ、積極的に海洋環境保護について考え始めました。また、海をきれいにすることが私たちの健康への影響にもつながるというメッセージを心に響かせ、未来の海を守るための活動をしていきたいと語りました。
まとめ
「海と私たちの体はつながっていることを実感できた」という子どもたちの声に対し、講師たちは「海をキレイにすることは私たちの健康にもつながる。問題があれば、それは解決のヒントも多い。未来の海を一緒に作っていこう」という励ましの言葉を送りました。
このような学びの場が広がれば、未来の担い手たちがより良い海環境を築いていくことができるでしょう。高知の海は、子どもたちの手によって未来へと引き継がれるのです。