経済的困難な世帯の中高入学支援の実態
公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施したアンケート調査によると、2025年度の中学校・高校の新入生を迎える家庭の多くが経済的な困難に直面しています。本調査は、経済的な影響や生活上の困難を抱える世帯に焦点を当てています。調査には、全国47都道府県から2,135人が回答しており、特に卒業および新入学にかかる費用が家計にどれほどの負担を与えるかが浮き彫りになっています。
調査結果では、66%以上の家庭が生活費を削減していると回答しており、その内71.3%は自身の食事量を減らすという苦しい選択をしています。また、新高1の生徒を持つ家庭では、借入を利用している割合も高く、特に借入金額と返済期間が増加していることも明らかになっています。
主な調査結果
卒業・新入学準備にかかる経済的負担
調査では、特に「パソコン・タブレット代」が新比率で増加しており、新中1では21.1%、新高1では56.3%が関連費用に苦しんでいると答えています。さらに、6割を超える家庭が卒業・新入学準備に際し他の生活費を削ることを余技なくされている実態が確認されました。
借入による費用捻出
卒業準備のために借入をしている保護者は約3人に1人に達しており、新高1を持つ世帯では特に多くの保護者が5万円以上の借入をしており、返済期間は1年以上に達しています。これは、昨年よりも顕著な増加傾向を示しています。
セーブ・ザ・チルドレンの支援策
経済的困難を抱える家庭の学ぶ権利を保障するため、セーブ・ザ・チルドレンは以下の4点を国・自治体に提案しています。
1.
学用品の選択制導入と価格の見直し: 制服や運動着について、地域や学校を超えた選択肢を提供し、価格の適正化を推奨。
2.
パソコン・タブレットの助成: 高校入学時の端末購入に支援が不足している現状を鑑み、助成の拡大を要望。
3.
既存制度の拡充: 中学校については、入学準備金の増額と早期支給を訴え、高校生の給付金についても見直しを呼びかけています。
4.
高校入学前準備金の創設: 経済的負担を軽減するため、高校入学に必要な費用を早期に支給する新制度の設立を求めています。
これらの提案は、困難な状況にある家庭が経済的支援を受けるための重要な一歩と位置づけられています。
結論
経済的な困難が続く中で、子どもたちが無理なく学び続けられる環境を整えるためには、早急な支援策が必要です。セーブ・ザ・チルドレンの取り組みを通じて、今後もさらなる支援が実現されることを願います。