海を学び、未来を考える「海と緑ヶ丘小プロジェクト」の取り組み
全国で進行する「海と日本プロジェクト」は、子どもたちが海の重要性を認識し、自ら行動する力を育むことを目的としています。その一環として、宮崎県の延岡市で行われている「海と緑ヶ丘小プロジェクト」では、地元の緑ヶ丘小学校の6年生が主体となり、海洋教育プログラムに取り組んでいます。2025年に向けて、海洋教育のモデルを確立するため、様々な学びの機会が提供されています。
プログラムの概要
このプロジェクトは、延岡市教育委員会との連携によって進められ、推薦された小学校の児童を対象に、海洋学習を深く行うことを目的としています。
今年度は「宮崎の豊かな海を未来に残すには?」というテーマのもと、4月から7月までの間に計6回の豊富なカリキュラムが用意されています。それぞれのプログラムでは、校外研修や専門家の講話が組み込まれ、子どもたちは海の恵みを学び、それに対する理解を深めています。最後には自分たちにできる海のための行動について考える場が設けられています。
第3回プログラムの内容
2025年6月9日、このプログラムの第3回目が開催され、総勢35名の児童が参加しました。講師には宮崎大学農学部の村瀬敦宣准教授を迎え、「干潟の役割を学ぼう」というテーマで学ぶ貴重な時間が展開されました。
最初に、干潟について「河口付近で潮が引いた時にあらわれる砂や泥のことで、重要な自然環境である」と基本から説明がありました。村瀬准教授は、干潟が清らかな海を保つための自然のフィルターとして機能していることを強調し、児童たちはその重要性に真剣に耳を傾けました。学びを深める中で、彼らの関心はさらに高まりました。
次に「干潟って何?」というテーマで、妙見湾に生息する生き物についての講義が行われる予定でしたが、雨の影響でフィールドワークは中止となりました。それでも村瀬先生による妙見湾の生態系の解説は行われ、多彩な生物の存在について学ぶことができました。児童たちはハゼに興味を持ち、ハゼが干潟に多く生息する理由を熱心に質問しました。これに応じて村瀬先生が600種類ものハゼについて説明することで、教室は興味津々の雰囲気に包まれました。
学びを深めるための工夫
さらに、室内では「県北の海」をテーマにしたオリジナルのカルタを用いたカルタ大会が実施され、児童たちは楽しみながら学ぶ体験となりました。村瀬先生がカルタの内容を解説し、海の環境について学ぶ時間はとても充実したものであり、この経験を通じて、児童たちは「干潟がどれだけ重要か」を理解し始めています。
参加した子どもたちが発した言葉には、学びの深さが表れています。「干潟は色んな生き物がいて大切なんだ」「潮干狩りもしてみたい」といった声が記録され、今回のプログラムが彼らの意識に与えた影響が伝わります。
次回のテーマ
次回のプログラムでは「海洋環境問題」をテーマに、延岡市の海に生息する生物の多様性について学び、環境問題がその生物に与える影響を考える機会が提供されます。歴史的な民話『琴姫の松』も鑑賞し、海との関わりについて感じる機会を持つことを目指します。
このプロジェクトを通じて、地域に住む子どもたちが海の理解を深め、自分たちの未来にできる行動を見出すことを期待しています。子どもたちが海と向き合い、愛する心を育むための取り組みが続くことは、地域全体にとっても大きな財産となるでしょう。今後の展開に大いに期待が寄せられます。