保育士新基準の実態
2025-03-10 13:31:18

保育士配置基準改正からの1年 - 課題と現状を探る

保育士配置基準改正からの1年 - 課題と現状を探る



2024年4月に76年ぶりに改定された保育士の配置基準が、導入から1年が経過しました。この改正により、3歳児に対して保育士一人が受け持つことのできる園児数は20人から15人に、4歳児と5歳児の場合は30人から25人に変更されました。その結果、保育士の労働環境はいかに変わったのでしょうか。株式会社コドモンが行った実態調査から明らかになったことをお伝えします。

調査結果の概略


調査結果によると、保育士配置基準への適応状況は約80%に達していますが、半数以上の保育士がその実態は「不十分」と感じていることがわかりました。その理由は主に人手不足であり、現場の職員が実感する保育人数と新しい基準との間に約10人の乖離が見られることも、この問題を際立たせています。

新しい配置基準への対応


調査において、約67.5%の保育施設が改定前から新基準を遵守していると回答していますが、17.9%の施設は今も新基準を満たせていないとしています。このことは、業界全体での対応のスピードにばらつきがあることを示唆しています。

増えた向き合う時間


新たな配置基準の導入による具体的な効果として、半数以上の保育士が「子ども一人ひとりに向き合う時間が増えた」と回答しました。しかし、31.8%の保育士は「特に変化を感じない」としており、現場での実際の運営には課題が残ることを示しています。

人手不足の深刻さ


改定された基準に適応できない理由として、77.8%が「保育士の人手不足」を挙げています。加えて、30.6%が「財政的な余裕がない」、22.2%が「退職者が多い」と回答しており、人材確保が深刻な問題であることが浮き彫りとなっています。

採用への取り組み


保育施設が新格基準に対応するための努力として、31%が新たに正社員を雇用し、29.5%が資格を持つ短時間勤務者を採用したと報告しています。中には、資格を持たない人材を雇用している施設も見受けられており、この点からも人手不足の影響が顕著といえるでしょう。

不十分と感じる基準


新たな配置人数については54.5%の保育士が「不十分」と回答しており、過半数が適切とは考えていないという結果に至りました。

行政の基準との乖離


現場保育士が思う最適な配置人数は、国の基準よりも少ないことがわかりました。4歳児に関しては、最適な人数が15.3人と、基準よりも約10人も下回るという非常に大きな乖離があります。

業務負担の増加


また、保育士が現在感じる大きな負担の一つとして「保育計画などの事務作業」が36.5%を占めており、業務の遂行に不安を感じている人が多いことが明らかになりました。

結論


保育士配置基準を取り巻く現状は依然として厳しい状況にあり、新しい基準の実施が、実際の保育現場でのより良いサービスへと繋がるような取り組みが求められています。業界全体が協力し、この課題を乗り越える必要があります。

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