世界水週間2025:水の不平等に迫る
2025年8月26日、ニューヨークとジュネーブで発表されたユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)の共同報告書は、世界水週間に際して重要なメッセージを発信しています。この報告書では、約21億人が現在も安全ではない飲み水を強いられている実態が浮き彫りにされており、特に脆弱なコミュニティや子どもたちが直面する水と衛生の不平等が深刻な課題であることが示されています。
安全な飲み水の不足
報告書によれば、全人口の4人に1人に相当する人々が、安全に管理された水へのアクセスを欠いています。これには、河川や湖から直に得るしかない、未処理の地表水を使用している1億600万人が含まれます。この問題は特に低所得国や農村地域で顕著であり、格差が広がる一因となっています。
衛生環境の欠如
さらに、34億人が安全なトイレを利用できず、その中で3億5,400万人は屋外で排泄を行わざるを得ない状況にあります。基本的な衛生サービスを受けられない人々は、依然として多く存在し、健康や教育に深刻な影響を及ぼしています。特に、17億人が家庭で基本的な衛生サービスにアクセスできず、その中でも6億1,100万人が全く衛生設備を持たないという現実があります。
女性と女の子への影響
報告書の中で特に注目すべきは、女性と女の子が水の確保にどれほどの負担を強いられているかということです。多くの地域で、女性たちは家庭の水くみを主に担っており、多くの場合、1日30分以上を水くみに費やしています。また、月経に関する教育や衛生管理も不十分で、必要な生理用品が手に入らないことが多く、これが教育に対する出席率にも影響を与えています。15~19歳の若い女性は、月経期間中に学校や仕事に参加する率が成人女性よりも低いため、さらなる社会的排除に直面している現状があります。
未来への課題
SDGs(持続可能な開発目標)の達成期限が迫る中、安全で管理された水と衛生環境の普及がますます困難になっています。ユニセフの水と衛生(WASH)担当ディレクターであるセシリア・シャープ氏は、「子どもたちが安全な水や衛生設備を持たないことは彼らの健康や教育、未来に深刻な影響を与える」と強調しています。この不平等は特に女の子にとって深刻であり、迅速な行動が求められています。
結論と今後の展望
今後も世界水週間を通じて、皆が安全で衛生的な水を得られる未来へ向けた取り組みに注目が集まります。この報告書は、我々に何が必要か、どのように国際社会が協力してこの問題に立ち向かうべきかを考えるきっかけとなります。水と衛生の問題は、すべての人々の基本的な権利であり、私たち全員が解決に向けて力を合わせることが求められています。この問題への取り組みが、すべての子供たちに光明をもたらすことを願っています。