地元の海の幸をこども食堂に届ける「こどもふるさと便」の取り組み
近年、ふるさと納税の新たな活用法として注目を集めている「こどもふるさと便」。このプロジェクトは、地域の特産品や体験をこども食堂、ひとり親家庭、さらには難病と闘う子どもたちに届ける取り組みです。特に長崎県の対馬市では、2025年から地域の海の幸を存分に活用し、こどもたちへの食支援を実施しています。
対馬市の豊かな自然を活かす
対馬市は、自然と歴史が豊かな地域であり、周囲を囲む海には多様な魚種が生息しています。このプロジェクトでは、ふるさと納税を通じて集まった寄附金を用いて、地元の海の幸を全国のこども食堂へ届けることを目的としています。特に市場に流通しない未利用魚や加工品などがたくさん存在しており、それらを有効活用することで、地域の水産業の支援にもつながります。
未利用魚の活用と未来への影響
未利用魚は、地域の水産業を支えるだけでなく、食文化の発信と食育の機会にも貢献します。特に対馬では、海の環境を守るために、特定の魚(例:イスズミやアイゴなど)の活用が促進されています。これにより、持続可能な海の環境保護にも取り組んでいるのです。
このような取り組みが評価され、「こどもふるさと便」は令和7年度食品ロス削減推進表彰で消費者庁長官賞を受賞するなど、全国的に注目されています。
地元の食材でこどもたちの笑顔を
2025年11月8日、対馬市内のこども食堂では、地元で取れたアイゴの加工品を使用したおかずを提供する特別イベントが開催されました。カレーライスとサラダに加え、アイゴの加工品を用いた料理が振る舞われ、子どもたちの笑顔が広がりました。「アイゴを食べるのは初めて!」といった感激の声が聞かれ、地域の食文化を広める素晴らしい機会となりました。
保護者や地域の人たちも一緒に食卓を囲むことで、世代を超えた交流の場も生まれました。このような取り組みは、子どもたちに新しい味の体験を提供すると同時に、地域コミュニティのつながりを強化します。
全国的な広がりを見せる「こどもふるさと便」
「こどもふるさと便」は2023年に始まり、これまでに全国の6自治体が参画しています。2025年度中にはさらに多くの地域に拡大予定であり、寄附者の思いを直接子どもの食支援へとつなげています。ふるさと納税を活用することで、地域経済の活性化や食品ロス削減にも寄与している本プロジェクト。今後の展開にも期待が高まります。
まとめ
地域の特産品を通じて、子どもたちに美味しい食事を届ける「こどもふるさと便」。対馬市の取組みは、単なる食支援にとどまらず、海の資源の大切さや地域コミュニティの意義を再確認させてくれるものです。これからも、もっと多くの子どもたちが地元の海の幸を経験できることを願っています。