児童精神科医海老島健先生が語る学び続けることの意義とは

児童精神科医海老島健先生が語る学び続けることの意義

2025年9月26日、公益財団法人川野小児医学奨学財団では、東京都立小児総合医療センターの海老島健先生によるオンラインキャリアセミナーが開催され、12名の医学生が参加しました。このセミナーでは、児童精神科における医療の重要性や海老島先生のキャリアについて語られました。

セミナーの背景と目的

川野小児医学奨学財団は、小児医学や医療の発展を目指して奨学金や研究助成を行っています。特に、医学生が医療界でのキャリアを築くためのサポートを重視し、現役医師の経験や知見を共有する場を提供しています。海老島先生の講演は、医学生にとって大変意義深いものでした。

講演内容の概要

海老島先生は、児童精神科における現状や課題、個々の症例の独自性について語りました。「児童精神科は学びの連続であり、二人として同じ症例はない」との言葉が印象的でした。先生によれば、症例数の多くない分野であり、常に新たな発見を求めて試行錯誤を繰り返さなければならないとのことです。

特に、近年の社会的背景においては、子どもの自殺率や学校での暴力行為が増加しており、児童精神科のニーズは高まっています。症状が明確に現れる年齢層として、中学2年生から3年生が挙げられ、子どもたちに早期の支援が不可欠であると述べました。

治療のアプローチ

海老島先生は「治療は医師一人では完結しない」と強調し、他職種との連携の大切さについても触れました。医者としての責任を持ちながら、心理士や福祉の専門家と連携し、一つのチームとして患者に向き合う姿勢が求められています。これは全人的な治療の実現に向けた重要な考え方です。

質疑応答セッション

セミナーでは、学生からの質問にも丁寧に応じました。特に、児童精神科を選ぶ理由や、他の診療科医にも知っておくべき事などが話し合われました。海老島先生は、社会的ニーズの高さや自分自身の裁量が大きな魅力であると語り、心の病は容易に診断されるものではなく、慎重なアプローチが必要であると警鐘を鳴らしました。

参加者の中には、将来のキャリアに向けた具体的な視点を得ることができたという声も多く寄せられ、セミナーは大いに評価されました。