現在の中高生教育費の負担状況
近年、経済的に困難な家庭において中高生の教育費が増加しています。公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが実施した調査によると、特に入学時にかかる費用が前年よりも上昇しており、授業料以外の私費負担が家庭の経済を圧迫している現実が浮き彫りになりました。
この調査は、経済的な課題を抱える世帯を対象に行われ、主にひとり親世帯や女性が多く含まれています。調査結果では、中学・高校の卒業や入学にかかる具体的な費用について「制服代」「卒業アルバム代」「教科書・教材費」「パソコン・タブレット代」などが挙がり、特に制服代は前年から約1万円も上昇しています。
調査結果から見えた経済的負担
調査では、約半数の高1保護者が「経済的理由により就学を続けられない可能性がある」と回答し、学生たちも約8割が「親がお金のやりくりに苦労している」と感じています。このような状況では、教育を受ける権利が脅かされているといえるでしょう。
具体的には、保護者の半数が「通学時の昼食費」「学校納付金」「制服・指定品の購入費」を負担に感じており、中高生の93%が「親の金銭的苦労」といった悩みを抱えています。特に、中学入学準備では「お金がかかり、生活が苦しくなった」という声も寄せられました。これらの声から、教育費が家庭に及ぼす影響の大きさが理解できます。
中高生の教育費に対する提言
この調査を踏まえて、セーブ・ザ・チルドレンは、教育へのアクセスを保障するためにいくつかの提言を行っています。
1.
経済的支援の拡充:就学援助や高校生奨学給付金など、授業料以外の費用に関する支援を強化する必要があります。
2.
学用品の備品化と選択肢の拡大:家庭の負担を軽減するため、学用品の備品化を進め、購入品の選択肢を広げることが重要です。
3.
高校入学前の準備金の創設:新たに高校入学時の経済的負担を軽減するための準備金創設を提案します。
4.
授業料の立て替え払いの実態把握:高校の授業料の立て替え払いの実態を把握し、適切な運用方法を検討すべきです。
5.
パソコン・タブレット代の無償貸与:地域により異なるパソコンやタブレットの状況を正確に把握し、無償貸与や補助を実施することが求められます。
これらの提言は、単に教育費の負担を軽減するだけでなく、困難を抱える家庭の子どもたちに平等な教育の機会を提供するために必要です。私たちは、子どもたちが安心して学び、未来に向かって羽ばたくための環境を整える手助けを、社会全体で進めていく必要があります。
おわりに
経済的な支援が必要な家庭が多く存在する中、教育へのアクセスを確保することは急務です。セーブ・ザ・チルドレンの取り組みは、そんな家庭の支援を強化するための一助となるでしょう。私たちもこの問題について考え、広めていくことが必要です。子どもたちの権利が保障され、より良い未来を築くために、まずはこの現実を知ることから始めましょう。