親子の接点が揺れる時期に知っておきたいコミュニケーションの実態

最近、進研ゼミ中学講座を運営するベネッセコーポレーションが実施した調査結果が発表されました。夏休み明けの新しい学期が始まるこの時期に、中学生たちが抱える「親に言えないこと」や、保護者の感じる子どもの本音についての興味深いデータが得られました。特に、親子間のコミュニケーションのあり方やその重要性について考えさせられる内容です。

中学生の半数が「言えなかった本音」を抱えている現実

調査によると、中学生の実に約58%が「親に言えないこと」を抱えていると回答しています。感謝の気持ちがあるのに伝えられていない場合や、将来的に伝えたい思いなども含めると、その数はさらに増加します。意外にも、中学生は親の意向を理解している一方で、自らの気持ちをなかなか表現できない状況にいるようです。

対照的に、保護者の83%は「子どもが言えない本音がある」と感じており、69%は「もっと気持ちを伝えてほしい」と答えています。このギャップは、親が子どもの気持ちに気づきながらも、発信を待つ姿勢が伺えます。

親が日々のサポートに感謝することの大切さ

特に印象的なのは、中学生たちが感謝していることで、「毎日ご飯を作ってくれること」や「部活の送迎」など、日常生活における親の支えです。多くの中学生が、言葉にすることができないまでも、親の努力を心の中でしっかりと受け止めています。

「いつか伝えたいこと」として挙げられる内容も、育ててくれたことや愛情、サポートへの感謝が多く、親子間の絆に改めて気づかされます。

価値観の相違が生むコミュニケーションの壁

調査はさらに、「親子間で価値観が異なると感じる項目」についても言及しています。この結果、親子ともに「勉強の仕方」や「スマホの使い方」が上位を占めていますが、中学生の「SNSに対する考え方」は保護者にはあまり理解されていないようです。これは、デジタル社会に育つ中学生と、それをあまり意識しない保護者との間に隔たりが存在することを示唆しています。

コミュニケーションの方法は「会って話す」がベスト

興味深いのは、同じ調査に対して67.3%の中学生が親に相談する際に選ぶ方法として「会って話す」を選んでいる点です。親も73.1%が同じように信頼する手段として「直接会って話す」を選ぶなど、デジタル環境が浸透する中でも、親子の重要なコミュニケーションには対面での会話が不可欠であることが浮き彫りになっています。

自然な空気を大切にしたい

また、中学生にとっては「親の表情が柔らかいとき」が話しやすい状況であるのに対し、保護者は「否定せずに最後まで聞く」「自分の失敗も共有する」など、会話の心がけを工夫しようとする傾向があります。親はしっかりとした環境を整えようとする一方で、子どもはシンプルな要素に心を寄せているというギャップが見受けられます。

新学期を迎える子どもたちへ

夏休みの終わりを迎え、新たな学期が始まるこのタイミングは、家庭内でのコミュニケーションが特に重要な時期です。親と子が直に顔を合わせ、日常の中で自然に会話することが安心感を生む基盤となるのです。普段の生活の中にこそ、お互いに理解を深めるきっかけが潜んでいます。

親子間のやり取りを意識して、自然な会話を増やしていくことが、中学生たちの心に大きな支えとなるはずです。新たな生活に向けて心のバランスを保てるよう、意識してみてはいかがでしょうか。この調査を参考に、ぜひ親子の距離を縮めることに繋げてほしいと思います。