コロナ禍での蘇生法における子ども救命への影響とは

最近の研究によって、コロナ禍が子どもにおける心停止の救命活動において深刻な影響を与えていることが明らかになりました。岡山大学が行った調査では、特に人工呼吸の実施が減少したことで、救命率が低下し、年間で約10人の子どもたちが救えたはずの命を失っていた可能性が示されました。

研究の背景

子どもが心停止した場合、窒息や溺水などの呼吸障害が多くの原因となり、適切な蘇生法が行われることが求められます。その中心となるのが、人工呼吸を含む心肺蘇生法（CPR）です。成人においては、感染リスクを避けるために胸骨圧迫のみの蘇生法が普及していますが、コロナ禍での人工呼吸の減少は、子どもたちの心停止救命において特に危険な状況を招いているのです。

調査の内容

岡山大学の研究グループは、総務省消防庁が管理する「All-Japan Utstein Registry」を使用して、2017年から2019年までのコロナ流行前のデータと、2020年から2021年のコロナ禍のデータを比較しました。その結果、人工呼吸の実施率が約12%も低下しており、一方で胸骨圧迫のみの蘇生法が増加していることがわかりました。この変化が子どもの死亡率や重度の後遺症に直結していることが確認され、対策が急務であることが指摘されています。